さまよえる国~江戸川区スーパー堤防差止訴訟第2回口頭弁論②
地権者の同意が要るか、要らないか。お伝えしていますとおり、被告・国は、準備書面にて「地権者が同意していなくとも、江戸川区が同意していればスーパー堤防の盛土工事ができる。土地区画整理法100条の2により、区が管理権を持っているから」と主張。
これに対し、小島延夫弁護士は、「100条の2は、仮換地指定されていない土地については施行者(=区)が管理する、ということ。つまり、道路や公園、公物などの予定地は仮換地の対象でない土地であり、これを指している。よって、仮換地指定された土地に盛り土することは、100条の2に該当しない土地も管理権が及ぶことになり、理解できない」と対抗しました。
さらに、「100条の2はあくまでも管理権原のみ」と指摘。「『管理』とは、具体には、駐車場として使う、物置場所として使うなど、その形状を変えることなく使わせること。しかし、今、当該地で行われているのは、土地の形を変える、区画形質の変更であり、『管理』ではなく『処分』。管理権原があるから処分権原が可能になるとはならない。ここからは、工事権原は出てこない」と。そして、「『工事』という処分変更行為ができるのは80条の問題」とし、被告に再確認したところ、これについては前回お伝えしたとおり「主張しない」ということに。80条問題について、原告弁護団は、そもそも条文にある『委任』にあたらないことをすでに指摘してきたところです。
しかも、工事は工事でも、実際なされているのは、区の区画整理による盛り土工事ではなく、国の直轄事業である高規格堤防工事。ますます説明がつきません。
今回、倉地裁判長がしきりに問いかけたのが「区が先に計画した区画整理による区単独の盛り土と、スーパー堤防としての盛り土では、物理的にでき上がる工事の内容は変わるのか、変わらないのか」ということ。国が「変わらない」と答えることを期待し、「じゃ、問題ないんじゃない?」となることを想定しての誘導尋問?とも思えましたが、いち早く反応したのが原告代理人・小島弁護士。「内容の前に、施行者が変わった。区は当時、盛り土の内容は決まっていない、と言っていたのだから、工事内容が変更したかどうかもわからないはず」と。国は無言。
被告・国が主張していないことまで言ってくれちゃう裁判長って? 次回、8月7日(金)はどんな展開に? 午後3時、101号大法廷にて。