憲法改正、そもそもの誤り⑥集会・結社・表現の自由の規制強化
【21条 集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護】
≪憲法≫
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
<草案>
①集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
②前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。
解説: ①で保障すると言いながら、追加した②によって、それには関係なく、認められないとも言っている。公益、公の秩序とは何か。いかようにも解釈できる伸縮自在のマジックワードであり、集会・結社・表現の自由に対する規制の強化である。
【24条 家族関係における個人の尊厳と両性の平等】
≪憲法≫
①婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。②配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
<草案>
①家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。
②現行①と同じ。③現行②とほぼ同じ。
解説: 現行憲法にある条文の前提として新たに①をつくり、助け合いを命令した。①を付け足すならば、最後にしてもいいはずだが、あえていちばんに置いた。法学上は、①にくるものがまず重要であり、原則であるのが常識的解釈。その①の範囲内でしか②③は認められないということ。家族については、当然のことを述べているまでで、憲法に書くことではない。家族にも多様な形があり、それは社会の多様性として認めるべきものである。
前段の④13条では、「個人」を「人」に変えたが、この③には、「個人」との表記(現行条文②の下線)が残ってしまっている。自民党はこれでよしとしている。
*解説は、昨年10月27日(火)、東京・生活者ネットワーク「国政フォーラム」での神奈川大学・金子匡良准教授の講演から。