突然の期日変更、訴えの利益は?~江戸川区スーパー堤防差止訴訟

 お伝えしましたとおり、38日(火)午後、結審するはずの「スーパー堤防差止訴訟」は、そのわずか1週間ほど前に、職権により期日が取り消され、関係者に電話FAXにより通知されました。そして、その翌日、次回期日が61日(水)である旨伝えられたといいます。 

 当該北小岩1丁目におけるスーパー堤防事業はこの3月にも終了する予定であり、原告らは差止を求めている以上、結審の時期には心を砕いてきました。事業が完了してしまえば、差し止める訴えの利益がなくなり、裁判所が判断をしない、ということも考えられるからです。そうなればこれまでの苦労が水の泡であり、住民が訴訟に打って出た勇気、ここまでの弁論の時間、そのための準備に費やした膨大な労力が報われることがありません。 

 そのため、原告らは昨年12月、裁判所に結審時期についての協議を求め、原告、被告、裁判所の三者で同月、話し合いを持ちました。原告らが1月の結審を求めたところ、被告・国が反論の用意があるとの理由で、1月は認められず、結審日は38日で協議が整ったのでした。原告らが結審時期にこだわる意味を、裁判所も行政も十二分にわかっていたはずです。 

 それがなぜ?  

 裁判体は、裁判長、右陪席、左陪席の3人で構成されていますが、裁判長と左陪席が不在となり開廷できない、というのが、裁判所が理由を何度も問われた挙句ようやく語ったことだといいます。この時期にこうした人事異動がなされることは普通なく、だからこそ、12月の三者協議ではこの期日に決めたはずでした。 

 ここで推察されるのが、判事の玉突き人事だといいます。東京高等裁判所長官の就任手続きが遅れに遅れており、それがこのタイミングでなされたことによるものではないか、というのです。 

 高等裁判所長官は,最高裁判所の名簿で指名され,内閣で任命され,天皇により認証されるという、3段階のプロセスを唯一踏むことになっています。(最高裁長官は内閣が指名、天皇が任命。最高裁判事は内閣が任命、天皇が認証)  このプロセスがここへきてにわかにすすみ、これにより、担当裁判長の交代が突発的に決まり、3月8日の時点では後任も決まっていない・・・。

 そうだとしたら、この重要なプロセスが後回しにされた理由とは何だったのか。

 内閣や裁判所の都合で弁論期日が突如延期変更され、市民の訴えの利益が阻害されるなど、あってはならないことであり、このような事態を招いている状況は糾弾されなければなりません。

 裁判所までもがアベ過ぎる・・。メディア同様、司法にまで強権政治の余波・・?