東京都、「公文書管理条例」検討へ~都議会ネットの質問に答弁
情報公開をすすめる小池都知事のもと立ち上がった「都政改革本部」では、「情報公開調査チーム」が精力的にミッションを果たしています。
都の情報開示の件数は年間約1万件で、このうち一部非開示も含めた非開示は約2割を占めます。この中には、行政の判断で非開示にしている情報が約3割あるとのこと。そこで、そもそも「東京都情報公開条例」が、公文書について「非開示は例外」とする趣旨に立ち返り、厳格に判断することを徹底することに。請求回数が多い公文書については各局が積極的に公表することにしたといいます。2015年度、都への請求内容で多いのは、工事設計書5,195件(全体の49.8%)/食品営業許可台帳390件(同3.7%)/診療所・施術所台帳282件(同2.7%)の順。ちなみに江戸川区の場合は、15年度計399件で、契約47件(11.8%)、職員の人事又は服務46件(11.5%)、区画整理事業38件(9.5%)、道路事業31件(7.76%)、建築確認30件(7.51%)が上位。
都では会議及び議事録の公開についても、約3割が非開示で、道府県に比べて高いことから、公開の割合を拡大。審議会の公開も盛り込み、これまで非公開としてきた理由などを精査し再検討した結果、10月には、会議の非公開割合が、33.9%から25%に引き下げられました。議事録は原則全文公開、非公開の場合でも概要を公表するとのこと。
都民が都のホームページから必要な情報にアクセスしやすい「情報公開ポータルサイト」も立ち上げ、情報提供の量や内容を拡大しています。
こうした公開の姿勢と同時に重要なのが、「公文書管理」のあり方です。そもそも開示請求したとしても、その文書が存在していなければ、「不存在」を理由として、当然公開されず、第二、第三の豊洲問題が起きることは自明です。
都議会生活者ネットでは、8日の一般質問(西崎光子議員)で、豊洲市場問題で意思決定過程の文書の作成や保存がされていなかった公文書管理のずさんさを改めて指摘。大きな工事で行政が受託者と打ち合わせするとき、記録をとらないことは考えられず、そうしたメモは組織的に使われるものであり、公文書としてきちんと管理しなければならないとして、公文書管理条例の制定を求めました。(生活者ネットでは、公文書管理法制定後、2011年にも文書質問しています。)
小池都知事は、「豊洲問題で失った都政への信頼回復には、一丁目一番地にあたる情報公開を徹底的に進め、都政を透明化していくことが重要。情報公開推進の前提となる公文書の適正な管理を実現し、これを都庁の隅々にまで浸透させる必要がある。今回の文書管理の問題を受け、まずは東京都文書管理規則を年度内に見直し、さらに、公文書の管理に関して来年度早期の条例化を検討する」と答弁しました。
2015年の総務省調査では、公文書管理条例を制定しているのは、5県、4政令市、12市区町とまだまだ少ない状況です。多くは規則・要綱等で定めており、都内で条例化した自治体はまだありません。
2年ほど前、私が開示請求し、江戸川区が「不存在」とした件につき、異議申し立ては却下されたものの、その中で求めた「行政説明部分も記録し公開すること」は実現されるようになりました。しかし、非開示の判断と同様、文書管理の判断も所管課によってまちまちです。
江戸川区も、まずは自発的に情報を公にする情報提供施策を拡大し、法令等で義務となっている情報の公表、さらに、請求に応じる情報公開姿勢を強めるとともに、適切な文書管理を定める「公文書管理条例」の検討が必要です。