公開 と 参加
裁判の傍聴に行く中で、それまでよく知らなかった裁判所について、市民としてオドロキを禁じ得ない場面が幾度となくあり、このHPでも意見を述べてきました。
傍聴者にとってのいちばんの疑問は、何といっても憲法に保障された「裁判の公開」の実効性。「口頭弁論期日」と言っても、通常、弁論はほとんどされない。時々交わされるコトバも、書面とやらを見ていない傍聴者にはさっぱりわからない(スーパー堤防関連裁判では、小島延夫弁護団長のもと、原告側は口頭での弁論を行い、さらに報告会での丁寧な解説により、一定の理解を得ることができています)。圧巻?は判決。「棄却する」など「主文」という結論だけが数秒で読み上げられ、民事事件の場合、なぜ、その結論が導かれたのか、その説明どころか、要旨さえも述べられない。「公開」とは、法廷に着席させること、とでもどこかに書いてあるのか・・。国民監視のもと裁判を行うことで、裁判の公正と、それに対する国民の信頼を確保するということのようですが、チンプンカンプンの状況下で国民にそれを求められても、そのミッションは果たせるはずもないでしょう。
昨年12月20日午後1時15分、東京高裁511法廷では、江戸川区スーパー堤防仮換地処分取消訴訟控訴審判決を含め、5つの裁判の判決言い渡しがありました。同時刻、同法廷での、十把一絡げともとれるこの状況もまた市民にとってはオドロキですが、民事の場合、そもそも当事者の出席は義務付けられておらず、実際、主文の読み上げだけですから、当事者もだれもいない法廷での言い渡しは珍しくないのだそう。5つの判決と言っても、ちゃっちゃと終わるわけで。訴えるだけ訴えて、判決日に出廷しないなどもってのほか、と思えますが、確かに、理由不明の主文だけなら、わざわざ聴きに行く価値なし、というものです。
しかし・・、この悪しき慣行がようやく改められつつあります。最高裁では、民事訴訟の判決においても、法廷の当事者や傍聴人に判断の内容を伝えるため、昨年から判決要旨を読み上げる取り組みをしているといいます。これだけのことがなぜこれまでできなかったのかが不思議。東京高裁でも、その必要性を認識され、自主的に判決理由を伝えていた裁判官がいらしたとのこと。早急にすべての裁判所に普及させることはそう難しくないと思います。
裁判所のHPを見てみたところ、最高裁長官の新年のことばがあり、課題に取り組む決意がさまざま述べられています。ちょっとひとごとのような表現も気になったりしますが、「国民目線に立った細やかな配慮や工夫に努め」、ぜひリーダーシップを発揮され、改革をスピーディに断行していただきたいと思います。裁判員制度については、その対象に行政訴訟も入れていただきますよう。
さて、お正月を過ごした伊勢志摩でも、新聞、テレビは小池都政の話題を伝え、日常会話でも話題に上っていました。こちらの東京大改革にももちろん大賛同。「都民ファースト」とは、生活者ネットワークが掲げ続けてきた「参加と自治」に他ならず、その大前提は「情報公開」です。今年は都議会議員選挙の年。生活者ネットワークは、世田谷・杉並・練馬・北多摩二区で取り組み、議席増に挑みます。全員の当選を果たし、市民政治をみなさんとともに進める年にしたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いします。
■都議会生活者ネットワークが小池都知事に提出した2017年度予算提案はこちらから。