不完全なコピペ判決 ~  江戸川区スーパー堤防差止訴訟不当判決①

北小岩1丁目に居住する地権者ら4名が、国に対し、スーパー堤防事業の差し止めを、江戸川区に対し、違法な同事業により原告らに生じた精神的苦痛への賠償として慰謝料の支払いを求めた裁判について、東京地方裁判所・岸日出夫裁判長は、前者は却下、後者は棄却との判決を言い渡しました。

工事差し止めについては、本事業はすでに完了していることから訴えの利益がないため、慰謝料については、江戸川区の有する100条の2の管理権に基いた工事権限による施行であり、適法であることがその理由。

いつもながら、上記の理由は法廷では語られず。3秒ルールがバスケット以外にここにもあったのか、と思うほどの早業で言い渡し終結。口頭で説明責任を果たさないのは裁判の悪しき慣習ながら、実はこの判決については、主文に続き判決要旨も読み上げるという申し合わせができていたとのこと。それがなぜ突然変更されたのか? さらに異様なのは、法廷の被告席が無人であったこと。昨年末お伝えしたように、判決に際し、無人の法廷で裁判長の声だけが響くことは珍しくはないようですが、今回、今まで被告席にいらした方々は出廷していないのではなく、何と傍聴席に座っていた・・。被告席に誰も座らないその理由とは?

原告弁護団が判決文を急いで読み解いたその中身とは、主に3つの内容。そのうちのひとつ、最大の争点とされた国がスーパー堤防事業を行える法的権限については、何と、コピペ。何のコピペかと言えば、昨年12月、言い渡しのあった江戸川区スーパー堤防仮換地処分取消訴訟控訴審判決で「『管理』には、土地の保存、利用、改良等が含まれる」というもの。しかし、そこには「『管理』には『工事』が含まれる」との同訴訟一審判決が判示していた異なる根拠までもが混入。控訴審判決が出るまでは一審判決を参考に本判決を書いていたのか、その一文も残されており、結果、整合のとれない「不完全なコピペ」になってしまっているといいます。

結審から5ヶ月も経ってからの判決。十分な時間をかけ、予断を持つことなく、裁判官の独立に則り、さぞしっかり職務を全うされると思いきや、どうやらそうした勤勉さ、誠実さとは無縁の判決文になっているようです。だから堂々と読み上げられなかった? だから堂々といるべき場所に着席できなかった?

原告らは近々控訴の予定です。判決に対する声明は↓からご覧ください。

差止請求一審判決に対する原告団弁護団声明

何もわからない傍聴者に、法廷の事情を説明する原告弁護団事務局長・大江京子弁護士。大法廷は傍聴者で埋め尽くされた。

何もわからない傍聴者に、法廷の事情を説明する原告弁護団事務局長・大江京子弁護士。大法廷は傍聴者で埋め尽くされた。