「効率」の前に「欠陥」を改めよ~看板付け替えで済まされぬスーパー堤防
「看板にいつわりあり」と指摘した、江戸川河川事務所による北小岩1丁目東部地区の看板。5月21日(日)、江戸川・荒川スーパー堤防見学ツアーで立ち寄ったときには、すでに新たな看板になっていました。指摘してから10日足らずでの看板変更。新たな看板には「ご迷惑をおかけしています」とのメッセージも。
現地訪問では、他にも疑問を抱くことが。
それはJR線の防音対策としてなされた植樹の貧弱さ。当地の堤防に立つと実感できますが、電車が通るたびに、話し声がかき消されるほどの騒音がもたらされます。スーパー堤防の盛り土により、それまで以上の騒音被害を懸念した住民が防音対策を求めたところ、江戸川区は植樹により対策をとる、と説明していました。しかし、現状は写真のとおり(中央、白い囲いの手前の樹木)。防音対策の効果など見込めるはずもないしろものです。
これにつき、5月8日の江戸川区議会建設委員会で、本西みつえ議員が質問したところ、
「樹はシラカシ。常緑樹であり、暴風にも使用されるもの。樹木の生長を見込んで植樹。まちづくり懇談会で住民の意向をお聞きし、区画整理課が選定した。」
「苗木であり、根付くには時間がかかる。すでに枯れている木もありそれは植え替える。確かに薄いところもあるので、そこは手当てする。いまはスカスカしているが、葉も茂り、大きくなる。植え込みとしてもよく使われているもの。そのようになるのは5年から10年かかる。」との答弁。
これでは10年たたないと防音対策として効果が発現しないことになります。「防音対策と言いながら、5年から10年はあまりにも時間がかかり過ぎ。権利者への土地の引き渡しも遅れる上、戻ったら騒音でうるさいとなりかねない。対策を考えるべき。」と意見を。そもそも、シラカシによる防音効果は立証されているのか? 騒音対策もやり直し?
当地では現在、盛り土のやり直し中。当初国交省が提案していた置換工法ではなく、工期短縮を最優先に、土と改良剤を混合撹拌して固める中層混合処理方法がとられています。この工事は、地盤強度不足が判明した画地のみでやり直しが行われ、道路部分は調査もせず、そのまま。当地のスーパー堤防は部分ごとに強度が異なり、同時に、全面に施された宅地では隣接地との強度が異なることにも。
盛り土をやり直すというかつてない事態の最中、国交省では汚名返上とばかりに、スーパー堤防推進のための検討に乗り出しました。これについての私の意見はこちら。第1回検討会の記録についてはこちらから。第2回「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」の傍聴希望は19日(月)午後2時まで。詳細はこちらから。
また、5月30日公表された利根川水系利根川・江戸川河川整備計画変更原案には篠崎地区のスーパー堤防化が盛り込まれました(P60)。この原案への意見が募集されています。締め切りは6月28日。詳しくはこちらから。