そんな堤防の上に住めるか!~江戸川区スーパー堤防差止等訴訟控訴審第3回口頭弁論

10日(火)午前、控訴審第3回目の口頭弁論が開かれました。
事前に書面を提出していた控訴人側が、その内容に沿って弁論。
まず、小島延夫団長が、傾斜地がもたらす生活への影響について、高木一昌代理人が盛り土の危険性、西島和代理人が治水対策としての問題点について、それぞれ弁論を行いました。

傾斜地被害の主張について、国側は2.5%から4.4%程度の勾配について生活上支障はない、としてきています。そこで、従前、当該地と国道14号線の間の歩道で撮影した動画を使用、法廷でその実態が伝えられました。
江戸川交差点から市川橋に向かう歩道は上り坂になっており、自転車に乗る人々は、途中から自転車を降りたり、若い人でも立ち漕ぎを始めます。また、市川橋側から人形を乗せた車いすを放すと、相当のスピードで降下する様子も紹介されました。当然、下から押してくることにもかなりの力が必要になります。

また、当地で宅地を建てるための地耐力不足が発覚した際、実施されたスウエーデンサウンディング試験やボーリング調査の結果、及びそれを検討・分析した文書について提出を求めていましたが、国は検討文書の提出もしなければ、口頭での回答もしていません。地耐力不足の原因が未だ明かされない以上、その後の対策工は適切だったのか、安全は担保されたのかを証明することはできません。(前回の模様はこちらから。)

これについて小島代理人が再度強く追究しましたが、国は「これ以上説明することはない」と、いつものことながら極めて不誠実な態度を見せていました。控訴人席のお一人から「そんな堤防の上に住めるか!ふざけるな!」との声が複数回上がり、法廷内に響きましたが、裁判長(都築政則さん)が制することはありませんでした。

改めて裁判長から調査結果の提出について問われた国は、ようやく「個人情報の被覆処理をし、10月25日までに提出する」と回答しました。できることをなぜこれまで拒んできたのでしょうか。

提出されるデータ等を今度は控訴人側が検討し、スーパー堤防の実態を明らかにしていくことになります。
原判決は「盛り土は安全」「危険性はない」と示しましたが、果たして?

さらに、治水対策としての矛盾について、
まちづくり計画がなければ一切進まない/洪水の危険性の高い上流での整備がなされず下流が優先されている/他の有効な工法はないとされるが、一方で確立されているとの見方がある
以上のことから、現在の利根川・江戸川河川整備計画を取りまとめられた泊宏さんはじめ、3人の証人採用が改めて強く求められました。(こちらもどうぞ。)

基礎地盤及び盛り土の強度不足の原因、証人の採否-、いよいよ次回が山場となるものと思われます。

第4回期日は、2018年1月11日(木)午前11時、東京高裁101号大法廷 にて行われます。どうぞ傍聴にお出かけください。

前にもお伝えしていますが、控訴審というもの、1回で終結することがほとんどなのだそう。4回まで行われることは異例の展開と言えるとのことです。