今、困っている人が大事か、何百年もかかる事業が大事か~江戸川区スーパー堤防差止等訴訟控訴審結審②
次に同じく控訴人の高橋さんが陳述されました。2011年11月11日に提起した第一次訴訟「江戸川区スーパー堤防取消訴訟」の時から、三次訴訟となった本訴訟までずっと原告団長の立場で闘ってこられています。
「長い道のりだったが、みなさんのおかげでここまで来ることができた」と前置きし、次のように述べられました。
「18班地区は江戸川区でも標高が高く安全な場所。昔からのお寺や神社もしっかり現存している。」
「この裁判で、この地区は流下能力が確保されていて、200年に1回の洪水がきても、越水しない計算になっていることがわかった。この計算は国交省によるものだ。このようなところに私たちの税金を使って無駄なスーパー堤防をつくり、本当に必要なところはほったらかしで、現実に平成27年には鬼怒川が決壊、平成30年には西日本豪雨により被害が発生した。集中豪雨が増えており、国交省は本当に危ないところがわかっているのに、何も手を打っていない。」
「スーパー堤防の整備は1mあたり5300万円で、すべて行うには690年かかる。江戸川下流部だけで1兆円になる。とても実現できると思えない。危険がわかっているところを放置していることは大罪だ。」
「今困っている人が大事か、690年もかかる事業が大事か、国の答えが聞きたい。」
地盤強度不足に関して、
「きちんと調査していないことがばれることを恐れて、当初、文書提出を求めたときは黒く塗りつぶしたのり弁の状態で出てきた。国と区による堤防上のまちづくりは、盛り土がいかに危険か、家を建て人が住むことが無理なことが明らかになった。」
さらに、「住宅地からいろいろな規制のある『河川区域』になり、資産価値が大幅に下がったと思う。住民の同意もなく、なぜ国が盛土を行っているのか。何の権限に基づくものか説明されていない。」と。
そして、「無駄な、何の役にも立たない、細切れのつながらないスーパー堤防をやめて、住民の立ち退きもない、早く、安く、安全な耐越水堤防の導入によるまともな治水対策をすすめていくべき。国と区によるまち壊し事業、住民いじめ、老人いじめのスーパー堤防事業は異常であり、他の区では聞いたこともない。スーパー堤防上のまちづくりは即刻中止し、通常堤防の整備を優先的に行うべき」と語られました。