凸凹の盛り土・道路の勾配~スーパー堤防と一体の新たなまちは安全で快適になるか?

道路事業の専門家・まちづくりNPO「認定NPO法人まちぽっと」の伊藤久雄さんと計画地内を歩きました。

堤防天端からまち側になだらかに盛り土するスーパー堤防事業の勾配は3%以下

「東京都福祉のまちづくり条例」(1995年制定)に定める勾配は基本5%以下(施行規則別表第8)

区へのヒアリングでは「8%の道路もある」「都条例の対象は歩道のみ」「斜度のきつい道路も実際ある」といった回答もありました。

しかし、まちを安全に、快適にするために、国の直轄事業・スーパー堤防と一体的に行う新たなまちづくり事業である以上、そのミッションが果たされなければ意味はありません。とりわけ、少子高齢社会における交通政策の課題を認識したうえでの取り組みがなされて当然でしょう。既述の都条例は、ユニバーサルデザインが基本。年齢、性別、国籍、個人の能力等に関わらず、できるだけ多くの人が利用できるよう生活環境その他の環境をつくり上げること、とされ、建築物、道路、公園、公共交通施設、路外駐車場について定めています(道路整備マニュアルはこちら)。都市施設の整備基準については「適合努力義務」にとどまってはいますが、反対住民を説得し、いったん家やお寺やお墓を壊し、コミュニティを壊し、大規模な盛り土までして新しい快適なまちに生まれ変わらせるというのですから、「適合できませんでした」では済まされないでしょう。

国のスーパー堤防、つまり盛り土ありきの本事業。堤防法尻の長短はあるにしても、その設計どおりの盛り土高をまず満たす必要がある。一方、区の区画整理事業により換地を決め、道路の高さも決まり、権利者の画地の使い方によって画地と道路の高さを合わせ、急勾配にならないようにしていく―。

計画内の中心に位置する浅間神社は「特別緑地保全地区」として盛り土されず、存置(そのまま)の民家も4軒。果たして、スーパー堤防の断面はどこまで確保できるのか。道路の勾配は整備基準を満たすのか。計画区域外のまち並みとの整合はどうなるのか―。

計画地では、補助288号線を通すために盛り土の中にボックスカルバートを設置します。荒川沿いの小松川では、この手法で道路冠水・通行止めを起こす事態になりました(こちらから)。

上篠崎での道路延長は約420m。そのうちの300mがボックス内、つまりトンネル内となり、小松川の3倍の長さです。これについては、4年前、本西光枝議員が決算特別委員会で質問しています。こちら(P132)から。小松川の反省に立ち、構造を変えるとのことですが、この構造にも注目です。

スーパー堤防との一体事業において、北小岩では宅地の地盤強度問題が、小松川ではボックスカルバート問題が起きたのは事実。それを2つとも踏襲することに加え、盛り土のあるなしによるまちの凸凹、道路勾配問題。困難を極めるまちづくり事業であることは明白です。費用対効果はどうなのか。一体どう決着を付けるのでしょうか。スタート時から今日、そして今後においても相当な苦労がうかがえます。事業にお墨付きを与える国交省関東地方整備局事業評価監視委員会の模様はこちらから。

この期に及んでも、実際のまちなみの全体像はよくわかりません。これについては、国交省にVR(バーチャル・リアリティ/五感に訴える仮想現実)を依頼しているとのこと。公開が待たれます。