『高台まちづくり』なのに新たな道路の浸水深は4m!~「篠崎公園地区高台まちづくり事業説明会」②
説明会会場に設置された立体模型には、大規模水害時には浸水してしまう箇所が記されていました。
これに関し、参加者から「地盤からどれくらいのところまで浸水するのか? 浸水するということなら、ボックスカルバート(堤防内に箱型トンネルが組み込まれる)の道路には水が入ってしまうのではないか。それなら、道路は今のまま地上を走らせた方が心配がないのではないか」との質問がありました。
区から、浸水深について「現地盤の深さが場所によって異なるが、3mから5mで、おおむね4mくらい」との回答が。そして「東京都の防災アプリで各地の浸水深を見ることができるので、大規模な水害が来たときはどれくらいになるのか、ぜひ活用していただきたい」との話もありました。
また、ボックスカルバートについては「最大でだいたい真ん中くらいまで浸水するということになってしまう」と。「都の防災アプリによると、今の道路は浸水しない高さにあるが、その北側、あるいは南側には浸水してしまうところがある。区のハザードマップの予測では、中川の東側はすべて水浸しになる。なので、最大の浸水深想定で言うと、江戸川区全体が水浸しになる」としたうえで、「今回、高台まちづくりということで、上面をにぎわいとか避難場所などとして整備している中で、道路は下を通すことで一体的により広く利用することができるということで、平成20年に都市計画の変更を決定している」との回答がありました。
篠崎公園の川沿いを走る現状の道路(補助288号線)はバス通りでもあり、低地と言われる江戸川区にあって『浸水しない高さ』にあるにもかかわらず、それをやめて、わざわざ堤防の中に箱型トンネルを通し、今よりずっと低いところを通す計画です。その全長は420m、うちボックスカルバートが300mに及びます。
頻発する水害において、『大水害』とまでいかない状況でも、アンダーパスの道路が冠水する映像をよく目にします。アンダーパスは全国各地にありますが、新たに、しかも災害に強い「高台まちづくり」と銘打つ事業において、移動手段を担保すべき道路が、造る前から浸水することがわかっている構造になぜしなければならないのか?
質問された方も「水に浸かってしまうのなら、安全に通すことを優先したほうがいい。理解に苦しむ」とご意見を。
区からは「昭和41年の都市計画決定を、平時の子どもの安心・安全を守る観点から平成20年に公園のど真ん中を通る道路を川沿いへと変更した。その際、高規格堤防と一体で進めるとされ、この形状になっている。高台化することで堤防天端は通れる。浸水深4mであれば区はどこも水浸しになる。区としてはできる限り高台を求めていきたい」との補足もありました。
しかし、これも肝心の論点を整理するための回答にはなっていません。むしろ、答える術がないことを露呈したようにさえうつります。
都市計画決定したことだから進めるのみ、という行政の姿勢も相変わらず問題です。
そして「大規模水害」というイメージを落としどころに、最後には「全区が水浸し」と開きなおるかのような姿勢も、ことをわかりにくくしていると思います。
少なくとも、16年前、計画変更をしていなければ、高台まちづくりの上に道路がつくられることになり、道路水没の危機は今より格段に低かったでしょう。
当時の都市計画審議会の模様はこちらからどうぞ。
同審議会で、ある行政機関代表の委員のお一人が「篠崎公園は防災公園なのだから、食料や救援物資搬送のことを考えても、公園上を通る現状の計画のままのほうがいいのではないか」と発言されていたのも印象に残っています。
■国交省「アンダーパス部の道路冠水注意箇所マップ(東京都)」はこちらから。江戸川区で唯一掲載されている「104番・小松川」は高規格堤防と一体のボックスカルバート。すでに冠水通行止めにもなっています。こちらから。