国民の生命・財産を軽視する河川行政に終止符を~「2025アースデイ東京」に参加

「スーパー堤防問題を考える会」は、4月19日(土)、20日(日)、代々木公園で開催された「アースデイ東京2025」に参加しました。「八ッ場あしたの会」「東京の水連絡会」のブースを共有させていただき、パネル展示を行ったものです。

ブースでは、長崎県の「石木ダム」について、53年前に県知事と当該住民が町長立ち会いのもとで交わした覚書が無視され、工事が強行されていることについて見直しを求める行動も。2日目にはステージで紙芝居でのアピールも行いました。

「スーパー堤防問題を考える会」では、今年は「篠崎公園地区高台まちづくり」の現状報告と、部分的な点の整備に過ぎないばかりか、大半はその基本形も確保できず、遅々として進まない「スーパー堤防の現実」に加え、「鬼怒川大水害訴訟」の控訴審判決及び原告が訴えた「スライドダウン評価」による堤防整備の矛盾についても展示しました。

アースデイ看板2のサムネイル

 

 

 

 

 

アースデイ看板1のサムネイル

 

 

 

 

 

 

 

 

配付したチラシも1面は「スーパー堤防」、2面は「鬼怒川大水害」について掲載。裁判原告団からも両日ともご参加いただき、来場者のみなさんに治水事業の課題について、ともにアピールすることができました。

左が鬼怒川大水害訴訟原告団共同代表の片倉さん。右は当会の飯田さん。

アースデイ2025 1面のサムネイル

 

 

アースデイ2025 2面のサムネイル

昭和24年のキティ台風以降、江戸川区では外水氾濫はなく、東京を守る江戸川の堤防は何度も堤防強化がなされてきました。河川敷も広く、頑丈な堤防を持つそんな篠崎地区等に「スーパー堤防」の事業化を図る一方で、鬼怒川沿川では、国が無堤防地区を放置した結果大水害が発生しました。さらに、堤防高がいちばん低く、水害の危険性が最も高い場所の整備を後回しにしたことで被害は拡大したのです。

全国で水害が頻発する今日、国民の生命・財産を守るための堤防整備はいかにあるべきか、その工法や優先順位について、ここで改めて見直さなければ、今後も各地で同様の水害が発生することは明らかです。

自然の力は人智を上回るのだからこれでいいということはない。より頑丈な堤防をつくることには意味がある―という見方もあるでしょう。しかし、国のスーパー堤防事業は、自治体のまちづくり事業と一体でなければなされない。つまり、治水事業というよりは都市再開発を後押しする意味合いが強い事業であり、平穏にそこに住む人に移転を強いる事業でもあります。市民を苦しませ、長大な時間と費用を要す―。気候変動と人口減少が著しく進む中、40年ほど前に事業化されたこの手法に固執する必要があるでしょうか。東京での計画対象エリアは江戸川・荒川・多摩川の下流域であり人口密集地域なのです。

ちょうど、来場者が行き交うところに展示できたこともあり、多くの方々と堤防整備事業のあり方についてお話することができ、有意義な2日間となりました。

 

*長年、河川行政の問題に斬り込んでいるフリーランス・ジャーナリスト・まさのあつこさん 【川から考える日本】23回に、「高裁で原告一部勝訴の鬼怒川水害訴訟が最高裁に、裁判で国交省が開陳した説明の『ウソ』を筆者が発見~河川管理の瑕疵を認めようとしない国交省、本来すべきことは何なのか」が掲載されています。堤防工事の順番は何に基づき実施してるのか? スライドダウン評価による治水安全度で堤防工事の順番を決めていたのか? 「治水経済調査マニュアル(案)」についても含め、国交省に取材。判明した驚きの事実をぜひお読みください。こちらからどうぞ。

当会の渡邉拓美さんは今年もフルートやクラリネットなどの演奏を。2日目の「石木ダム」紙芝居コーナーでは「♪わたしには愛する自然があるから~」と「マイ・ウェイ」の替え歌も披露。