B/Cのあり方を問う~「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」が国交省ヒアリング②

国会超党派の「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」による国交省ヒアリング2回目は、12月9日(火)夕方、「善福寺川上流地下調節池」と「東京外環道」に関し、参議院議員会館大集会室にて行われました。

2つの事業に共通するのは、地下40mのシールド工法で事業が進められること。「東京外環道」ではすでに5年前、調布市の住宅街で道路が陥没。市民の平穏生活権が脅かされています。安全性が確立されているとは言えないこの工法が「善福寺川」でも取られようとしているのは由々しき事態です。

「善福寺川流域の自然と暮らしを守る会」のHPはこちらから。

そしてもうひとつの共通点がB/C(費用便益)の問題です。

今回、「善福寺川」に1500億円かける価値はあるのか、市民は東京都に説明を求めていますが、都はこの事業単独のB/Cを出していません。

この重要問題について、大西隆東京大学名誉教授が資料に基づき、明快に論点を整理されました。

・国が予算を付ける事業では、B/Cが1.0を下回ることはない

・今回の「善福寺川」の事業は、4つの河川による「荒川水系神田川流域河川整備計画」の中でなされる

・都はこの流域全体のB/Cを公表しているが、2021年3.37だったものが25年は1.41と下がっている

・全体として1.0を超えていても、一つ効率のいい事業があると、やらなくてもいい事業が入っているかもしれず、各事業の意義を考える必要がある

そして、公表されているデータに基づき以下の通り試算すると、「善福寺川」単体のB/Cは「0.66程度」と示されました。

〇神田川流域河川整備計画の便益6,814.8億円

〇河道整備と調節池の便益が、対応する降雨量に比例し、各調節池の容量あたりの便益が等しいと仮定すると、「善福寺川」のB/Cは0.59

〇「善福寺川」の事業費1406億円は、河川整備計画の事業費5858.8億円の24%

〇よって「善福寺川」のB/Cは、(6,814.8 ×0.6×0.186)/(4,844.5×0.24)=0.656

国交省との質疑も含め、集会の様子をフリージャーナリスト・まさのあつこさんが動画配信されています。こちらからご覧ください。

参加された国会議員:

篠原孝議員・山田勝彦議員・山崎誠議員・嘉田由紀子議員・山添拓議員・吉良よし子議員・吉田はるみ議員・羽田次郎議員・阿部知子議員・山岸一生議員・五十嵐えり議員・籠島彰宏議員

後半の「東京外環道」の国交省ヒアリングについてはこちらからどうぞ。

B/C分析は、全体事業、個別事業、いずれでなされるべきか。また、事業開始から完成までか、将来に関してか。道路、河川など、それぞれの事業でうまく使い分けられているようにも思われ、B/Cのあり方の再検討は不可欠です。