災害対策の協定あり、なのに実効性はない?

街づくり・防災対策特別委員会報告

→8日は区内でも10分15㍉、1日100㍉の集中的大雨で28箇所の道路が冠水。区役所周辺、中央2丁目の高齢者住宅にお住まいの方が近隣の写真を送ってくださいました。この周辺は、道路整備に合わせ、貯留管が埋設される予定。

 9日の「街づくり・防災対策特別委員会」のテーマは防災対策について。繰り返される大地震や、大型台風などによる水害の歴史にはじまり、洪水対応のためにいかに「スーパー堤防事業」が重要か、また、親水化の名のもとに中川を埋め立てる「中川防災ベルト構想」にも久々に言及、さらには「八ツ場ダム」の必要性まで、土木部長の説明は、委員会における通常説明の倍の時間、1時間半以上に及びました。

 折りしも防災の日に放送されたNHKスペシャルは「首都水没」。江戸川区も、この新たな危機を前に、多くの人命を守るための模索を始めた自治体として紹介されました。その内容について区民としての疑問が・・。

 区は広域避難が重要とし、「まちが水没する前に住民全員を区外に逃がさなければならない」。そのためには、周到な準備が必要であり、市川市の国府台に20万人の受け入れを求めるものの、「国府台は市川市民の避難場所でもある。江戸川区民受け入れのための備蓄や避難民の世話をどうするか。自治体同士では解決できない」と難色を示されるという場面。

 しかし、江戸川区の洪水ハザードマップに示された地域防災拠点は、大島小松川公園、葛西南部地区(葛西臨海公園など)、国府台台地の3か所。収容可能人数は、それぞれ、19.7万人、155.2万人、27.1万人と示されており、これまでも区は、大島小松川と国府台に各20万人、葛西臨海公園に27万人が避難する想定の説明しています。しかも、この地域防災拠点は「浸水を免れるだけでなく、区民が避難できる十分なスペースがあり、救援物資や他の避難場所への輸送など、避難後の対応が可能な場所」と明記されています。

 さらには、江戸川区と市川市は「災害時における市川市と江戸川区との相互応援に関する協定書」を締結しています。第1条にある目的は、「お互いの区域において、地震、水害、火災等による大規模災害が発生した場合、それぞれ相手方に救援物資の提供、職員の派遣、被災住民の受け入れ等の応援を行うことにより、被災地区住民の生命と安全と生活基盤の確保に寄与すること」。以下、応援の要請、応援要請の手続き、責務、応援経費の負担、体制整備など、11条まで細かく定められているのです。

 NHKスペシャルはノンフィクション番組の代表格。それにしては、演出されているきらいがぬぐえません。「こうした現状にあるのに、あの放送では誤解を招くのでは?」と質問。回答は「協定は結んでいるが細目については決まっていない」というもの。この協定書は「江戸川区地域防災計画」の資料No53にあるのですが、協定書って、そんな程度のものなの? 単に紙ベースでの安心に過ぎず、実効性が担保されていないとは・・。 

 防災対策に力を入れているはずの江戸川区のぐらついた足元が露呈した以上、協定の内容を担保する協議を詰めなければなりません。と同時に、要援護者対策としても、近隣避難の模索が必要であり、まさに地域防災の拠点である学校施設への確実な避難ルートの周知や、今日的課題としては、外水氾濫以上に内水氾濫対策を強化することも必要です。

 「区としては最善の水害対策と自負する最重要施策『スーパー堤防事業』をアピールする絶好のチャンスだったのに何故そうしなかったのか?」との質問には、「もちろん話したがカットされた」。そうならば、事業の評価は別にしても、「スーパー堤防整備方針」まで策定して、国との共同で強力に進めようとしている区としては、NHKに抗議してもいいのでは?