フロンティア堤防工法、首都圏でも

10月26日、国土交通省大臣官房会計課より、「平成24年度経済危機対応・地域活性化予備費の使用等について」が出されました。予備費計上の理由には「大規模災害に備えた防災・減災対策として、河川等の緊急風水害対策」も明記されています。

河川については、「平成24年7月の九州の豪雨災害等を踏まえた堤防の緊急点検結果(同9月)において、堤防の浸透に対する安全性及び水衝部等の河岸浸食に対する安全性が低いとされた箇所や、流下能力不足とされた箇所に対して緊急的に堤防のかさ上げ・補強対策等を実施する」とされ、245億円が予算化されました。荒川では足立区とさいたま市、江戸川では春日部市と松伏町、多摩川では日野市がそれぞれ対象となっています。

荒川下流河川事務所によると、足立区の施工箇所は堀切橋上流。堤防の中には、雨水と河水が入ることから、洪水浸透対策として、川法(のり)面には遮水シートを張り、町側の裏法面には堤防に入った水が抜けるようドレーン(水の抜け道)をつくるというもの。

一般的に河川改修は2段階あり、まずは完全な高さを確保すること。次に浸透対策を施すことだそう。すでに高さは確保されたので、今は浸透対策を行っており、すでに対象延長21kmのうち、約半分が終了しているとのこと。平成16年から行われているこの工法は、まさにフロンティア堤防工法を取り入れたものと言えます。

以前から「首都圏で実施すべき」と、議会質問も行ってきましたが、あくまでもフロンティア堤防は地方の河川の洪水対策として実験しているものであり、荒川・江戸川・多摩川ではスーパー堤防と決まっている、との回答が繰り返されてきました。

「この工法はフロンティア堤防と同じものでは?」と改めてただすと、しばらく時間が経ってから、「目的が異なるので違う」との返答。「荒川で実施しているのは、超過洪水ではなく、計画規模の洪水を対象としており、あふれることを想定していない」と。「目的は異なるとしても、施工方法に限って言えば同じでは?」とさらに聞いてみると、「はい、そうです」。

計画規模だけでなく、超過洪水対策でもある「フロンティア堤防」と同様の工法(目的が異なる、とのことなので百歩譲って・・)は、住民に多大な負担をかけず、期間についても費用についても現実的で持続可能な堤防強化策のひとつです。23区でもすでに板橋区、北区、足立区、葛飾区などで施工されていますが、江戸川区ではまだ。河川事務所としては江戸川区内での施工も検討中であり、箇所はまだ言える段階ではないとのこと。地方での成果を認め、人口が集中する首都圏でこそ、脆弱で危険な場所の強化をこうした方法でスピーディーにすすめていくべきです。

「八ツ場あしたの会」のHPトップに掲載されている、京都大学・今本博健名誉教授(河川工学)の「なぜ私がダムに反対するのか~淀川の常識・利根川の非常識」をぜひお読み下さい。6つの堤防補強工法が示され、実験してもなぜ突然消えていくのか、効果的と思われる堤防強化策がいかなる理由でお蔵入りとなったのか、そのカラクリもわかります。