民間だのみは功を奏すか~進まないスーパー堤防事業

2017年9月6日 13時32分 | カテゴリー: スーパー堤防

国土交通省が2018年度予算概算要求概要を公表しています。

一般会計予算は 9,715 億円。対前年度倍率は1.16倍。一般公共事業費 9,285 億円のうち、治水事業等関係費が9,222 億円とほとんどを占め、そのうち7,818 億円が河川関係です。(砂防関係 1,243 億円、海岸関係 162 億円)。これ以外に、省全体で社会資本総合整備2兆3,466億円があります。

東日本大震災復興特別会計予算(復興庁所管) は1,281 億円となっています。

基本方針は以下のとおり。

○気候変動に伴い頻発・激甚化する水害・土砂災害や切迫する大規模地震に対し、ハード・ソフト一体となった予防的対策や、甚大な被害が発生した地域における再度災害防止対策等の取組を推進。

○魅力ある水辺空間や良好な自然環境の創出等の地域活性化、観光振興等に貢献する取組を推進。

○公共施設のストック管理・適正化のため、施設の集約化や長寿命化計画策定を通じたトータルコストの縮減を図る等、効率的な事業を推進。

○東日本大震災からの復旧・復興を加速させるため、堤防等の復旧・整備を推進。

さて、スーパー堤防事業は?

(3)「賢く投資・賢く使う~既存ストックの最大活用、民間事業者との協働・連携」の中の5番目に、「高規格堤防の効率的な整備~民間事業者等との連携強化」として盛り込まれました。(上記概要P37)

有識者からなる「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」を3回開催したとして、 検討会を踏まえた効率的な整備を進めるための方策(例)が次のとおり列記されています。

民間事業者等にとってインセンティブとなるよう、川裏法面敷地を建築物の敷地として算入可能とする制度の運用を検討。

・高規格堤防の盛土を河川管理者に代わって民間事業者等が建築物等と一体的に施工できるよう、技術基準や費用負担の考え方等を定め、工期の短縮やコスト縮減を実現。

・高規格堤防の予定区域を明示し、共同事業者を公募する仕組みづくり。

このねらいは、民間事業者等との連携を強化し、堤防の安全性向上、災害時の避難場所、活動拠点、良好な住環境の提供など多面的な効果が発揮される高規格堤防の効率的な整備を推進することなのだそう。

制度創設から30年経ってなお、完全整備率は以下のとおり3.27%(2017年3月現在)。実は、治水よりまちづくり事業ありきの本事業。もはや自治体だのみもついに限界? 荒川・平井4丁目地区では、大手民間事業者から袖にされた本事業。この先、民間事業者の理解は得られるか? 7月、国交大臣が平井7丁目のスーパー堤防を視察したのは何が何でも事業存続に向けての布石? 住民生活への影響がさらに懸念されます。(↓完全ではない部分を含む整備率は、国交省が好んで使うデータ。会計検査院から、整備途上(基本断面を満たしていない)でもカウントしているのはスーパー堤防事業だけ、と指摘されている)

河川 スーパー堤防区間延長 完全整備率 完全ではない部分を含む整備率
江戸川 22.0km 0.63% 8.41%
荒川 51.09km 0.73% 11.98%
多摩川 15.3km 1.675% 18.43%
淀川 22.8km 0.08% 6.10%
大和川 6.9km 0.15% 29.86%
118.09km 3.27% 12.06%

ところで、3回開催したという検討会で出された「とりまとめ(案)」。7/25時点で、3回目の日程をお聞きしたときは「未定」とのことでしたが、何と2日後に開催されていました。その「とりまとめ(案)」、まだ(案)はとれていないようですが、これに基づき概算要求が・・。