区は、区税の公平・適切な徴収事務に加えて、公債権や私債権の確保についても対応を強化してきています。私債権については、平成18年度に「私債権管理条例」を制定、翌年、「債権管理マニュアル」を作り、弁護士に回収業務を委任するなど、積極的な対応を図ってきたところです。
公債権には、強制徴収にかかるものと、非強制徴収の2種類があります。
区の強制徴収公債権は7つ。特別区民税・軽自動車税(以上、特別区税)・保育所保育費負担金・道路占用料・国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料。以上の未収金は、101億550万円。(平成21年度決算)
非強制徴収権は4つ。学童クラブ育成費負担金・障害者施設使用料・幼稚園保育料・生活保護費返還金。未収金は113億8千万円。(同)
また、私債権は19あり、区営住宅使用料、新左近川マリーナ使用料、奨学資金返還金、生活一時資金貸付金や高額療養費資金等貸付金など、各貸付金の元利収入がこれにあたり、未収は35億円余り。合計すると、約148億円です。このうち、特別区民税51億余り、軽自動車税6千万余りで、2つの区税が占める割合は3分の1、3分の2がその他公金となります。
公債権は行政として実施する事業、私債権は民間と競合する事業、というふうに分けることができます。
区では、こうした未収金について、各所管課が徴収事務を行っていますが、その中でも、保育料と国保料の二件の公債権については、困難事例に関し、納税課特別整理係が担当しています。22年度からは、非強制徴収の学童保育料も同様の扱いとなり、特別整理にかかる範囲が増えてきています。
滞納者は、複数の公金を滞納しているケースが多いというのはどの自治体でも共通です。所管課は日々の業務に追われて滞納処分まで行うのは難しい状況があり、また、催促の電話かけや戸別訪問を各課がバラバラに行うのは非効率とも言えます。何度もあちこちの課から連絡を受ける側も、区民感情の面で課題があるでしょう。
そこで、納付する意思の希薄な滞納者の情報について、債権回収に特化した専門組織をつくって移管し、そこで一元的な回収に取り組む方法を検討すべきではないかと考えます。一元化は、自治体が持ちうる情報をいかに活用するか、ということですが、もちろん、慎重なデータ管理が求められることは言うまでもありません。主な債権の滞納整理を移管すれば、所管課は現年分の業務に専念できます。船橋市では、滞納者に対し、「あなたの債権を債権回収対策室専管組織へ移管しました」という通知書を送っただけで、滞納者の3割程度から連絡があったといいます。
財源捻出が求められる中、148億の未収金は区の埋蔵金であり、いかに回収するか、工夫が求められます。組織の在り方も検討しつつ、さらに取り組みをすすめるよう要望しました。