20日、区内の環境NPO「エコメッセ・元気力発電所」が主催したエコツアーに参加しました。移動は、使用済みのてんぷら油で走るBDFバスで。目的地はトランジションタウンをめざす山梨県都留市です。トランジションとは移行の意味。地球温暖化やピークオイル問題に対して、化石燃料に依存しないまちづくりをめざす考え方で、私も今回初めて知った言葉です。
都留市では2004年、市政50年を記念して、水の豊かなまちのシンボルとして小水力発電に取り組むことにしました。利用可能なエネルギーとして最も期待される小水力発電の普及啓発を図ることを目的に市民参加型で実施したものです。
水力発電は、イニシャルコストはある程度かかるものの、ランニングコストはほとんどかからず、年間コストはメンテナンス経費が15万円程度。なおかつ24時間発電を続けることができる点で、高効率な発電方式と言えます。30年は使えるそう。
2006年、市役所脇に完成した「元気くん」1号機はバイパス水路を設けて建設した水路式。水車は直径6メートルで、発電出力は8〜20キロワット。市役所での消費電力の15%を賄っています。水路(家中川)は市街地を流れ、生活用水としても利用されているため、多量に流れ込むゴミ対策、また、季節によって激しく変化する水量への対応なども求められ、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の水力発電施設の設置に関わる新技術の導入事業として、自治体として全国初の新技術が取り入れられました。4300万円の建設費のうち、国の補助金は3割。市の一般財源以外に市民公募債1700万円も充当。この市民公募債の名称は「つるのおんがえし債」。地球環境に対する都留市民の感謝の念をこめて、自然エネルギーによる環境負荷の軽減を目的に発行。申し込みが想定の4倍にもなり、抽選となりました。
今年5月に稼働した流れ込み式の「元気くん」2号機付近で目を見張ったのが、川をほとばしるように流れる水の勢い。富士山をはじめ、山に囲まれた地形ゆえ。まさに地域の特性を十二分に活かした取り組みであることが実感できます。2号機の「つるのおんがえし債」の発行総額は2360万円。1号機、2号機とも休日・夜間の余剰電力は東京電力に売電しています。らせん式による3号機も間もなく設置予定。
この水力発電は視察先としても注目を集め、発電による新しい経済効果もあるといいます。豊かな自然の利用によって「アクアバレーつる」をつくりつつ、産業の活性化も果たす、これぞまさに低炭素地域づくりです。
市では2005年、「都留市地域新エネルギービジョン」を策定し、「まちづくりと新エネルギー導入との融合」など3つの方針、「森林資源保全活動との連携事業」「まちづくりグループとの共同によるモデルシステム導入」など、5つの重点プログラムを掲げていますが、いつまでにどの程度のCO2を削減するかについての数値目標はまだ立てられていません。もったいない!
CO2削減目標をきちんと立て、PDCAサイクルの確立で、確実なCO2削減の見える化を図ることが望まれます。
↓2号機見学に向かう途中の家中川。ステキな後ろ姿は奈良さん。右は、流れ込み式の2号機。