沖縄に基地はいらない!

「抑止力」という虚構・人間の安全保障

16日(金)、江戸川憲法を読む会が主催した「普天間問題から見えてきたもの」をテーマとした講演会に参加しました。講師はジャーナリストで沖縄大学客員教授の前田哲男さん。

普天間基地移設問題については、辺野古移設を明記した日米合意と閣議決定により、沖縄県民の意志が踏みにじられた形で、すでに決着を見たかのようなムードになってしまっていました。5月の日米共同声明では、8月末までに、移設場所や工法について日米で合意する段取りとなっていることから、選挙中は何ら話題にもならなかったものの、今日あたりから報道がなされ始めています。

1960年の日米安保条約改訂時、沖縄は日本ではなく、その条約の対象ではありませんでした。72年の沖縄返還によって、「安保条約とともに」あるようになり、今、沖縄は「安保条約ゆえに」新基地建設を強いられています。沖縄戦に始まった基地の歴史の中でも、新たに基地をつくる歴史などありません。

北朝鮮や中国の脅威が指摘され、海兵隊の「抑止力」が重要視される中、基地をなくすことができるのか?

まず「抑止力」について、前田さんは「この言葉は60年代、核戦略の分野で定着した用語。核保有の正当化と使用の抑制、そのジレンマを克服するために登場した、核報復力=相互抑止=恐怖の均衡という概念。日米安保の分野にこの概念を持ち込むこと自体、歴史的にも定義上もおかしなこと。事実、60年安保のときには抑止力なる言葉は一切使われていない。この概念を、米海兵隊の日本駐留の意義にまで拡大して、あたかも海兵隊が日本防衛に不可欠の存在であるかのように言うのは誤り。そもそも海兵隊は抑止力と正反対の即戦力という存在だ。」

そして「政権交代は、日本は今までとは違う、と言えることに大きな意味がある。憲法9条を維持し、公正と信義のもとで、いかなる安全保障政策を構築するかだ」とし、「EUはこれができている。世界大戦の反省に立ち、冷戦の後につくり出した共通の安全保障政策で結ばれている。ドイツ人の安全はフランス人の安全であり、ポーランド人の安全になる。この考えは日本国憲法前文に謳われていることだが、実行したのはEUが先。国家を超えた全世界の人間の安全保障が実現されるべき。中国人と日本人の安全が同時に遂げられるようにすべき」。さらに「ないがしろにされてきたものを取り戻してつくっていく、これが政権交代だ」。 事実、政権交代によって外国軍が撤退する確立は80%を超えており、フィリピンは全廃、ドイツも3分の1に縮小しています。

普天間の問題で迷走を続ける政権に対し、「鳩山さんはフィリピン型の『常駐なき安保』をすすめたが、『国内法優位の原則』をとったドイツ型にならう方法もある」と提言を。

地域主権をすすめる政権ならば、何よりも沖縄県民の意志に沿うことが重要であり、アメリカの一極支配が過去のものとなった今、日米関係の再検討に取り組む姿勢が必要です。

生活者ネットワークは、「沖縄に基地はいらない!」ことをこれからも主張していきます。