給食の安全をどう守る?

現状の課題から、新たな提案へ

  グローバル化がすすむ中で、このところ食の安全を揺るがす問題が相次いでいますが、江戸川区内でも今年は、ある区立中学に鶏肉を納入している業者が、浦安市の学校給食にブラジル産を岩手産として偽装納入していたことが発覚、書類送検される事件がありました。そこで、改めて江戸川区の給食の安全性を確認してみました。

  まず、学校給食ですが、都道府県には、給食物資を適正かつ円滑に供給するための「学校給食会」という公益法人が置かれています。江戸川区の場合、牛乳とパンについては、ここから100%調達しています。実施回数が週2回から3回になったご飯については、私たち江戸川ネットの提案により、友好都市・山形県鶴岡市のお米が50%使われており、給食会からの納入は19%。それ以外のお米や、その他の食材については、主に地域の商店から調達されています。全国的に産地偽装が相次ぐ中では、産地証明は当然行なわれていると思われますが、証明書提出は牛肉などごく一部の食材に限られているのが実態で、安全性についての点検及び責任は各校が負っています。産地確認は、納品書や野菜などの入った箱に書かれた産地を信用しているというのが現状です。牛肉についての証明書提出は狂牛病やO157などの対策のためですが、実はもともと23区の中で一食あたりの単価が最も低い(低学年202円、中学年223円、高学年243円)上に物価高が重なり、最近では給食に牛肉が登場することはない状況。今や安全性はコストに規定されるとも言える中、安全確保の観点からも給食費の見直しを検討すべきです。

  学校給食が文部科学省や農林水産省の通知にかなりの部分規定されているのに対して、保育園の給食は、厚生労働省の最低基準はあるものの、大事なことはすべて自治体の判断に任されている点で異なっています。わずか2名の栄養士が年齢に応じた栄養価計算を行い、毎月、園長や調理師などと献立会議を開き、52園共通の献立をつくっています。1ヶ月に2度同じメニューが出されるのも保育園の特徴。その理由は、まずは食べ物に慣れるため。発達段階に応じた配慮です。
  食材についてはお米、パン、牛乳をはじめ、すべての食材が地域で調達されています。どの食材についても産地証明などの提出はなく、学校給食と比べると不安材料のひとつと言えます。近所の商店との契約については、地域の子ども達のため、という思いの中で、園のメリットにつながる部分もあるでしょうが、一方では、学校に比べて人数も少なく、納入量も少ないことから、手間のかかる事務を省いてしまっている、ということになってはいないでしょうか。学校よりもさらに「信用がすべて」という状況です。

  幼児と大人の一日の食事量を比較すると幼児は大人の半分ですが、体重1キログラムあたりの食事摂取量の比較では、幼児は大人の2倍の量をとっています。体の小さな、発達段階にある子どもにとっての食事はことのほか重要であり、万が一、異物が体内に入ってしまった時のリスクは大人の比ではありません。

  最近、事故米の不正転用が次々と明らかにもなっており、何を信用していいかわからない、という声もよく聞かれますが、そんな時だからこそ、自治体の責任で食の安全対策を強化することが必要です。
  明日の一般質問では、新村さんが江戸川ネットを代表してこのことをテーマに、新たな提案をする予定です。どうぞ傍聴にお越しください。