篠崎地区でも宅地地盤強度不足~スーパー堤防事業と一体の土地区画整理事業「第一次移転先」

江戸川沿川の篠崎地区では、北小岩1丁目東部地区に次いでスーパー(高規格)堤防事業と一体の土地区画整理事業がなされることになっていますが、地盤の軟弱層が深くあることから、国及び区の事前の調査ですべての区域内で地盤改良が必要とされていました。こちらから。

スーパー堤防事業では、当該住民は自ら家を取り壊して一旦地区外で仮住まいし、従前の地区に戻るという2度移転が必要でしたが、住民の負担が過大であることから、当地ではスーパー堤防の盛り土とは離れた場所を第一次移転先とする「飛び換地」(左側の赤点線)という手法がとられています。スーパー堤防区域外のため、この箇所の地盤改良は江戸川区の責任において昨年1月から実施。10月には地盤報告書を権利者に渡していました。

区は2020年7月の「第一次移転先における地盤対策説明会」において、建築基準法施行令第93条及び国交省告示第1113号を根拠に、宅地地盤として求める性能について、次のように説明していました。「宅地引き渡し基準」を伝えるニュースはこちらから。

【0.5m~2.5mの範囲】

家の重さを支える力は30kN/㎡以上(1㎡あたり3㌧の力がかかっても大丈夫)、100kg以下の重さで地盤が沈まないこと

【2.5m~5.5mの範囲】50㎏以下の重さで地盤が沈まないこと

ところが12月、権利者が独自にハウスメーカーに地盤調査を依頼したところ、基準に満たない箇所があることが発覚。これを受け、区が改めて全22画地を調査すると、調査地点の約3割で基準不足が判明、1月中旬から再改良工事が行われる事態となっています。経緯はこちらから。

2016年12月、北小岩一丁目東部地区での本事業において、スーパー堤防上の宅地強度が不足していたことで、国が地盤改良を余儀なくされたことは記憶に新しいところです。今回はスーパー堤防上ではありませんが、一体事業の範囲内のことであり、北小岩での反省を踏まえ、十全の地盤対策が講じられなければならなかったというのに、どうしたことでしょうか。

また、地盤調査については、木造3階建てを想定した場合、家の重さが影響する範囲は基礎の下から5mまで、との説明もありましたが、今回の調査結果によると、9街区は貫入不能とされ、5mまでの調査がなされていないようです。これで区が示した宅地として求める性能が測れたと言えるのでしょうか。

超軟弱地盤の本地区でどのような方法で地盤改良を行うのか、注目してきたところです(こちらから)。そもそも当地でのパワーブレンダー工法が適切だったのかの検証も必要でしょう。

北小岩1丁目東部地区では、地盤対策のやり直しにより土地引き渡しが半年ほど遅れました。篠崎地区では3月24日が引き渡し日となっており、区は予定通りとしていますが、約束した宅地性能を満たした土地引き渡しが何より重要です。

今回の顛末は、区が発注した仕様書通りの結果でなかったことから、再改良費用は事業者負担とのことです。

 

<本件に関する 本西みつえ議員 のレポートをどうぞお読みください>