私が参加した「個人の自立と平等」の会では、韓国女性団体連合事務総長から韓国の「戸主制廃止」が報告されました。女性差別の象徴と言われながらも、家族のつながりを重んじる韓国固有の伝統であったことを思うと、この制度が廃止されるということは本当に大きな改革です。2008年1月からは、世帯単位ではなく、父も母も子も個人を単位とする身分登録簿を持つことになります。さらに、子の氏は父の氏に従うという原則も変わり、夫婦が婚姻届を提出するときの協議により、どちらの氏をつけてもいいことになりました。最後まで、家族解体につながるという強い反対はありましたが、運動家たちの粘り強い活動とともに、今年2月に憲法裁判所が「戸主制は憲法に反する」という判決を下したことが大きなステップとなったといえます。
日本側からは若い女性弁護士の方々が「離婚訴訟の現状と課題」、そして「民法改正」について報告しました。「結婚適齢を男女とも18歳に」「女性の再婚禁止期間を6ヶ月から100日に」「夫婦別姓に」「非嫡出子は嫡出子と同等の相続分を」、この4つが改正の論点です。どれも常識の範囲内のように思われますが、80年代から議論されながら、未だピリオドが打たれる状況にはありません。多様なライフスタイルを可能にし、誰もが暮らしやすい社会にしていこう、という思いは同じはずなのに、片や世界の流れを機敏に取り入れ、新しい制度改革を行い、一方は、必要性は感じながらも石橋をたたくばかりで、しがらみを断ち切れず前へ進めない。ファシリテーターの慶煕大学NGO大学院教授が「男性の考え方を変えることが大事」と話されましたが、日韓とも行政や司法の決定の場に男性が多いのは共通のはず。なのに、この違いはどこから来るのでしょう?「多様」がキーワードの21世紀、初頭の軍配は明白ですね。
ただ、10年ぶりに現地で再会した韓国の友人に戸主制廃止の話をすると「えっ、そうなの?」(その夫は知っていましたが。)最終日の団体訪問に付き合ってくださった若いボランティアの女性も「知らなかった」と驚いていました。こんな大事なことを、市民側が知らないとはちょっとびっくり。社会にどのように定着していくのか、注目です。
(写真は、江戸川ネットの藤本さん(左)、大田ネットの奈須さん(右)と)