教育委員会傍聴記

教科書はこう採択されるのです

 8月9日(火)、一時から開かれた教育委員会を傍聴しました。18年度から向こう4年間使用される中学校教科書採択の委員会とあって、傍聴希望者が規定の倍の40名集まり、くじ引きとなりました。
 先月末、都教委が養護学校やそれぞれ特色が異なる中高一貫校4校について「新しい歴史教科書をつくる会」(扶桑社版)の教科書を採択しましたが、委員から課題はおろか、評価理由さえひとことの発言もないまま、全員一致をもっての採択となったことには本当に驚かされました。
 江戸川区ではどのような審議がなされるのかと、大いに関心を持って傍聴しましたが、4名の教育委員のみなさん(委員長は議事進行)は、それぞれの教科書を大変よく吟味されており、細かいところまで丁寧に読み込んでいることが伺えました。いかに生徒の興味をひきつけて学力の定着また発展につなげていけるかを常に念頭におかれ、活発な意見交換がなされていました。
 話題の歴史教科書については、まず最初に「関心を高めることが大事で、扶桑社も導入がいい」との発言があり、ドキッ。そのあと、「地域の歴史や身近なものから歴史を考えさせる工夫も大事」「歴史では年表が大切。見開きで大きな流れがつかみやすいものがいい」などの意見が。途中またまた「扶桑社は歴史上の人物を多くとりあげている」との声。これを受けて別の委員から「とはいっても(人選に)バラつきがある。その中には活躍した女性もとりあげられていたほうがいいのでは」。最後に、主体的な学習を促す観点の評価がなされ、総合的に見て『東京書籍』の歴史教科書がすぐれているとの見解で一致しました。
 他の教科についても幅広く丁寧な審査が展開され、真摯な態度で採択に臨まれた教育委員のみなさんには敬意を表したいと思います。(都教委は参考にすべき!)
 ただ、採択にあたっては、必ず最初にその教科の目標とすべきことが委員長または委員から出され、意見交換を経て、最後には16科目すべて全員一致の採択。とても順調。これって、決定については事前に行われているのかな・・と感じたりもしました。

[江戸川区教育委員会が採択した教科用図書]
・ 国語「伝え合う言葉(教育出版)」 ・ 書写(光村図書)
・ 地理「世界の中の日本(帝国書院)」 ・ 地図(帝国書院)
・ 歴史「新編 新しい社会(東京書籍)」 ・ 公民「新編 新しい社会(東京書籍)」 
・ 数学「新編 新しい数学(東京書籍)」 
・ 理科第一「新編 新しい科学(東京書籍)」 ・ 理科第二 (同左)
・ 音楽「音楽のおくりもの(教育出版)」 ・ 器楽合奏「中学生の器楽(教育芸術社)」
・ 美術(日本文教出版) ・ 保健体育(学習研究社)
・ 技術「新編 新しい技術家庭(東京書籍)」 ・ 家庭 (同左)
・ 英語「NEW CROWN ENGLISH SERIES New Edition(三省堂)」