子育て家庭の新たなライフライン『病児保育』

若者パワーが支える仕事と家庭の両立

   私が参加している東京・生活者ネットワークの政策委員会では、11月26日(土)、「いまどきのすごい若者たち」というテーマで学習会を開きました。フリーターやニートという言葉でくくられがちな今の若者たちですが、時代の牽引役として社会を変える、精力的な活動をしている若者たちもいます。

   そのひとりがNPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹さん、24歳です。今年4月、病児保育・病後児保育のNPOを立ち上げました。大学を出たばかりで、妻も子どもも彼女もいない(ご本人弁)彼がなぜこの道を選んだかというと、仕事と育児の両立が当たり前の社会を実現したいから。子どもは少々熱があっても元気なもの。でも保育所は預かってくれず、こういう場合に安心して子どもを預けられる場所は全国に500箇所、保育所全体のわずか2%と、圧倒的に少ない状況です。「フローレンス」はこうした問題を社会の問題として事業で解決していこうというソーシャルベンチャーです。その背景には、ご自身も子どもの頃、近所のおばさんによく預かってもらっていた、また、お母さんが現在保育ママをしていることから、保育を身近にとらえられる環境にあった、ことがあります。

   これまでの病児保育と言えば病院の一角で行われることが多く、定員制でした。そのため、預かってほしい時に預かってもらえない、という課題がありました。そこで「フローレンス」では会員制をとり、保育形態も非施設型としました。月々の会費は子どもの発病率から割り出す保険型で4000円から1万円程度。保育は在宅で行われます。子育て経験者による駆けつけレスキュー隊や在宅レスキュー隊の他、6つの小児科医院やタクシー会社とも提携し、サポート体制は万全。会員は40名になり、社会貢献は順調にすすんでいます。
   厚生労働省が緊急サポートネットワーク事業を展開するにあたり、照会を受けたとのことですが、従来の定員制を描いている国にとっては、画期的とも思えるこの事業は想定外で、今回のネットワークには組み入れられなかったそうです。いかにもお役所らしい・・・。とはいえ「フローレンス」は内閣府認証。さすが内閣府!ですが、その内閣府は重要課題を解決する調整機能を持つのですから、厚労省ともしっかり調整してもらいたいものです。

   「病気のときくらい親が面倒をみろ」という声が聞こえてきそうですが、あくまでも病状が軽い場合の保育であり、仕事と育児の両立を成し遂げるためには不可欠なサービスです。「素人が病児保育なんて無謀だ」と最初は反対の嵐だったといいますが、問題意識のある若者のパワーで、子育て家庭の新しいライフラインができています。現在は中央区と江東区のみの事業ですが、地域で取り組みたい方がいれば、ノウハウを伝授してくださるそう。頼りになる若者です。