→楕円形の閲覧テーブルは前の人の視線が気にならないよう設計されている。
最初に向かったのは市民による風力発電事業の現場。2基の巨大な風力発電を見上げ、市民の思いを形にしたプロジェクトには感慨ひとしおでした。その後、地元企業「佐藤水産」さんの工場を見学。石けん運動であったり、魚を加工する時に出る残渣のリサイクルであったり、食品を扱う事業者としての堅実な資源循環への取り組みを視察しました。
午後、石狩市立図書館へ行きましたが、その施設の充実ぶりには目をみはるものがありました。
まず自動貸出機を導入していること。本のタイトルは、その人のプライバシーを示すことにもなることから、自動にすることで躊躇なく好みの本、自分にとって必要な本を借りることができます。石狩市民でなくても世界中の誰でも借りられるとのことで、東京から出かけた私たちにも「返却してくれればOKですよ」。お隣りの札幌市民の利用も多いそうです。
書架は人の身長にあわせた高さに統一されていて、分類はビビッドな色彩でメリハリがつけられています。貸し出し冊数の制限はなく、利用者は小さなカートに本を入れながら、本の重さに苦労することなくフロアを楽々回れます。複製絵画の貸し出しも、1点1ヶ月を期限として行っています。オーディオやビデオコーナーも充実していて、試写・試聴のブースでは親子や友達で一緒に鑑賞することもできます。子ども図書のコーナーはひときわかわいく、読み聞かせの部屋はまるでディズニーランドのトゥーンタウンのよう。
対面式の読み語りの部屋や、くつろいで閲覧できる畳のスペースも確保。誰でもトイレなど体が不自由な方への配慮はもちろん、図書ボランティア専用の広い部屋まで用意されていたことには、まさに「市民との協働あってこそ」という市の意気込みが伝わってきました。
ロビーにはスクリーンがあり、奥にあるホールでの催し物が同時に見られたり、高校野球など人気メニューが上映されます。その隣りには喫茶コーナーも置かれ、お店の前には朝とれた地場野菜などが並ぶことも。これまでの図書館の堅いイメージとはまるで違う、ひとつのアミューズメントパークのよう。年齢に関係なく「また行きたい」、そう思わせるに十分な仕掛けが施され、図書館が市民の居場所になっていると実感しました。
江戸川区の中央図書館はほぼ同時期の開館ですが、こうした感覚が今からでも取り入れられれば、と思います。
↓本を入れるカート ↓ロッカー付きボランティアルーム