高齢者を支える「介護保険制度」に

再び定点調査を始めています

→制度改正直後、福祉NPOメンバーとともに、区内の地域包括支援センター「暖心苑」で現状のヒアリング。(06年6月)  

  99年の統一地方選を前に、生活者ネットワークが「生活転換!子育て・介護は社会のしごと」をスローガンとしたとき、実際に子育て・介護に関わる多くの方々からはたくさんの共感を得ました。その後、子育てや介護を地域で支えていこうという流れが強まり、国も都も区もこのことに重点を置くようになっています。
 
 「介護保険制度」も2000年4月に始まりましたが、私たちはその直前から、都内のネットが連携し、5年間にわたり介護保険利用者の実態調査を行いました。年に2回、同じ方に意見を聞くという定点調査です。介護保険制度は、第一にサービスを利用する本人の身体や生活を支えるためのものでなければなりません。利用者の声を受け止め、生かすことで、より良いものにしていくことが必要です。

  昨年の4月、この制度が大幅に見直され「介護予防」に重点が置かれたものになりました。急速な高齢化と逼迫する財政問題が大きな理由と言われる改正を受けて、まずは介護認定の基準が変更され、「介護予防」の区分が加わり、新たなサービスも登場しています。
 しかし、1年経った今、利用者からは介護認定が変わったために「これまで使っていたサービスが使えず家族の負担が増えた」などの相談や、介護の現場を担うNPOからは「今回の改正は、家族介護を強いるものに逆戻りであり、介護の社会化の後退である。」との声が届いています。
 
  私たちは、地域の福祉NPOとともに「介護予防」に重点が置かれた今回の制度改正で、高齢者の暮らしがどのように変化したのか、利用者の方々に協力をいただき、昨年から再び3年間にわたる定点調査をスタートさせました。高齢者が自らの生き方を選択し、それを支えるための制度にするという、所期の目的が果たされなければなりません。

  重労働の割りに報酬が少ないといわれるケアワークの現場も深刻な状況です。福祉NPOなどが思いやりと責任感をもって働いている一方で、介護大手事業所では、介護報酬の不正請求が繰り返されていたことが明らかになりました。行政のチェック体制を整えなければなりません。

  生活者ネットワークは設立以来、誰もが安心して自分らしく暮らせる地域を実現するために、福祉を優先したまちづくりの政策を提案してきました。この介護保険制度を、高齢者の暮らしをしっかりと支える制度にしていきたいと考えます。

↓同時期、区役所内にて行政ヒアリングも。