松葉のダイオキシン調査結果を清掃一組に報告

市民のカンパで行なう市民による環境調査

→報告に行った生活者ネットと生活クラブのメンバー。23区清掃一部事務組合の入っている区政会館(飯田橋)の前で。ネット区議は、右から世田谷・竹村さん、江戸川・新村さん、稲宮、江東・薗部さん。(12/26) 

 今年の2月から3月にかけて、23区南生活クラブ生協では、クロマツによるダイオキシン調査を実施しました。来年度から23区が廃プラスチックの焼却を導入することから、その前と後の周辺環境への汚染レベルを把握することを目的とするもので、来年度以降の実施も決まっています。

 プラスチック焼却の安全性については、各区の実証確認でも基準をクリアしているという評価ですが、一般市民にとっては、データを見ても「どこがどう安全なのかよくわからない」というのが本当のところです。そこで、市民自らが自分たちの暮らす環境の安全性を確認するための環境指標を持とうと、130万円のカンパを集め、自分たちでクロマツを採取し、カナダの調査機関へ送りました。江戸川区でも24地点からサンプリングを行なっています。
 松葉による調査は、アメリカ合衆国環境保護庁によりオーソライズされた方法で、EU諸国でもダイオキシンモニタリング対象試料としてドイツやオーストリアなどでも採用されています。日本の大気中のダイオキシン測定は、年間平均とはいっても、一年を通してわずか4日間の平均であることと比べると、より実態を示すデータの得られるモニタリング指標と言え、ダイオキシン問題が世間を騒がせた99年にも実施しています。

 その99年の国連発表によると、日本は世界のダイオキシンの約半分を排出、世界一のダイオキシン汚染大国と言われます。日本の濃度基準0.55pg-TEQ/m3は、野放しの焼却が行なわれていた99年当時に甘く設定されたもので、国の基準をクリアしているから問題はないとは決して言えない状況です。全国平均の0.051という数値も国際的に見ると、欧米の都市の5倍から6倍。今回もワースト1となった、江東区臨海部の数値0.41がいかに高い数値であるかがよくわかります。1日1800t以上の焼却能力を持つ江東区の次に高い値が、以前から不燃ごみ焼却工場を持つ大田区京浜島、そしてなんと江戸川区がワースト3に。99年との比較では、23区とももちろん改善されてはいますが、最も改善がみられなかったのが江東区で、江戸川区も改善不十分との結果が出ています。また、最も改善されたのが品川区ですが、今回の測定時にはプラント更新のため工場が停止中であったことに照らすと当然の結果ではないでしょうか。

 クロマツによるこのデータは、いずれも行政による公表データのほぼ2倍の数値となっており、江東ネットの薗部典子さんの議会質問が江東区長から一組に伝わり、今回の報告につながりました。市民のカンパで市民による調査を行い、市民がデータを持つ強みを生かして、これからもごみ政策の行方、そして環境チェックを強化していきます。