スーパー堤防事業には「住民の意見反映」を

「建設委員会」報告

→神戸市新長田地区では「震災復興市街地整備事業」が、住民・専門家・行政による「まちづくり協議会」方式により推進されている。身近な道路は住民意見を反映、歩道部に「せせらぎ」が設置された。委員会視察にて。(9/2)

  現在、建設委員会には、前期に引き続き、篠崎や北小岩のスーパー堤防事業に反対する陳情が計4本出されています。
  篠崎地区の事業は、都市計画道路288・286号の計画変更決定に伴って施行されるもので、道路の事業認可が下りれば、事実上、スーパー堤防事業着工となることから、陳情者は事業認可の手続き中止とスーパー堤防構想及び区画整理事業の準備中止を求めています。また、北小岩では事業手続きは何ら発生していませんが、区は区民との交渉用の拠点となるビルを購入するなど、事業推進に向け着々と準備を進めている状況です。こちらの陳情者は区長が「住民の意思を無視して進めることはしない」と議会答弁していることから、その履行と、やはり構想の撤回と見直しを求めています。署名数は篠崎関係1175筆、北小岩関係は4041筆。

昭和62年、河川審議会が「越流しても破堤しない堤防の構想」を答申し、一級河川1万4千(110水系)の中でも特に大都市、東京と大阪が肝心であることから、利根川・江戸川・荒川・多摩川・淀川・大和川の5水系6河川がスーパー堤防として指定されました。スーパー堤防とは、現状の堤防の高さに対し30倍の幅で傾斜をつけてまち全体を土盛りすることで、まち自体が堤防の役割を果たすというもの。計画総延長は870km、うち完成済み26kmで整備率3%。整備中の延長21kmを合わせてもこの20年間で5.4%の進捗率に過ぎません。江戸川については107km中8.1kmで8%、荒川58.2km中8.7kmで15%です。仮に葛飾との境から小岩健康サポートセンターまで2.5km(建物1400棟)を実施すると、1600億円もの莫大な費用がかかります。住民にとっては約10年にも及ぶ工事期間中、住み慣れた地域を離れなければならないなど負担が大きいことから、住民の合意を得るのはなかなか難しい状況です。

  埼玉県栗橋町では「堤防強化対策事業」と「暫定スーパー堤防事業」の選択を迫られ、住民参加の委員会の開催や住民アンケートを実施した結果、「堤防強化対策事業」に決定しています。アンケートは地権者に対して町と国土交通省利根川上流河川事務所が共同実施。その際、2割程度の反対があればその事業はできないというボーダーも決めていたといいます。堤防強化支持65.6%、スーパー堤防支持26.5%という結果となり、町は住民の選択を最大限尊重したと言えます。こうした手法は決定の経緯が非常にわかりやすく、住民に納得を得られやすいものです。

  江戸川区でもこれだけ多くの区民の声が上がっているのですから、住民への事業説明はもちろんのこと、時期を見て住民アンケートなどを実施することも考えるべきではないでしょうか。行政主導が強すぎる江戸川区には、「河川法」の重要ポイントとなっている「住民意見の反映」が必要です。