大規模分譲団地を持続可能なまちにする方法

「衣食住」から「住・食・医」へ

→分科会の報告の様子。

 超高齢社会の到来、所得格差の拡大などを背景として、住まいに不安をもつ人が増えています。住まいとはまさにひとりひとりの生活の基盤です。私たち生活者ネットワークは1991年、これからは住宅政策と福祉政策は切り離せないとの考えから「私たちの政策 福祉・住宅編」をまとめたのを皮切りに、地域で誰もが自立した暮らしを営むためのしくみづくりという視点から住宅政策に取り組んできました。わたしたちも含む生活クラブ運動グループでは、すでに都内にコミュニティで支える多ニーズ対応型(介護支援や保育所など)住宅、また、自律した高齢者住宅など、新しい住まいの形を展開しています。さらに、04年に行なった若者調査では、東京の住環境は若者にも厳しく、いつまでも親に依存した生活を送りがちな若者の姿が浮き彫りになりました。私たちは、区分所有と賃貸という概念しかない住宅の考えから一歩踏み込み、「使用居住権」の確立も含め、「衣食住から住・食・医へ」をモットーに、住宅政策をセーフティネットの新たな柱として捉えなおしていくべく、取り組みをすすめているところです。

さて、今日は、千葉大学で行なわれた「第4回もうひとつの住まい方研究大会2008」に参加しました。住民主体、地域主体の新しいまちづくり・住まいづくりの実践を知り、新しい住まいを運営、また研究されている方々からの提案を聞くことができました。午前の基調講演では、千葉県の「県民主体の福祉政策づくり」の精力的な取り組みを聴き、午後は「分譲マンション団地を持続可能なまちにする方法」を考える分科会に参加しました。

大規模団地は今一斉に高齢化がすすんでいますが、一戸50〜60㎡と手狭であったり、中層のためにエレベーターがないなど、子育て中の若い世代への交代がはかどらず、また団地内の商店の衰退により、車がないと買い物が不便であるなど、多くの課題を抱えています。一方で、大規模団地は小さな自治体ともとらえることができ、貴重な社会的インフラであり、コミュニティができている、自然環境が豊かであるなど、地域の拠点としての力は十分にあると言えます。人口減少にともない、こうした団地がますます衰退すれば、スラム化につながり、そうなったときの公共の負担は非常に大きくなることから、やはりここで再生を図らなければなりません。しかし、建て替えとなると、住民の合意をとることは非常に難しいことから、この点については、行政が、合意形成に至るまでを戸建てと同じレベルまで支援する必要性が提案されました。大規模改修にも賛同できない住民については、大規模ゆえに現状維持の棟もあり、そこに移り住む選択ができるのでは、また、若者にとってはなじみの薄い団地住まいのきっかけづくりとしては、すでに行なわれているルームシェアを体験することで、団地の魅力に気づく機会を持てるのでは、との意見がありました。団地内につくられる介護や保育などの福祉施設は、受益者を団地住民だけでなく地域にまで広げ、開かれた団地にしていく重要性も確認しあいました。コミュニティはあくまでも親睦ということ、管理組合に必要なのはガバナンスである、ということも印象的でした。