多様な保育事業にはチェック体制の強化を

税の配分の見直しも

  今年度を3ヶ月残した時点での東京都の減収は1700億円。さらに現時点で、2009年度の減収は7500億円を上回る見通しです。
  23区は都と財政調整を図り、特別区交付金を受けますが、江戸川区では本年度予算1983億円のうち、この交付金が874億円と、何と歳入の44%以上を占めています。まもなく概要が発表される2009年度予算は厳しい編成となることが予想されます。事業の無駄を省くのはもちろんですが、その一方で、人を育てる保育や教育、また、人をケアする介護などの分野においては、ハード、ソフトにヒューマンの視点をプラスして、サービスを受ける側・提供する側ともに、充実した体制にしていきたいものです。

  その保育や介護分野への、民間事業者の参入がすすむことに対し、懸念する声が多く聞かれます。実際、介護ではコムスン問題が、保育でも昨年、エムケイグループが経営難を理由に突然保育所を閉鎖するという事態となり、大きな問題になりました。2000年の保育所設置基準の緩和により、利潤追求の民間参入による、起きるべくして起こった事件と見る向きもあります。ニーズが高まる中においては、企業やNPOなど、多様な参入主体がサービス提供者となること自体は考えていくべきことです。しかし、その参入を受け入れた後の、虚偽内容や財務状況についてのチェック体制が追いついていない面があるのは事実です。中野区や世田谷区で問題となったのは東京都の認証保育所であり、江戸川区にも現在22箇所設置されていますが、運営は堅調です。とはいえ、都内を見渡すと、保育経験ありといいながら、その実、事業参入のために保育事業者を吸収するなど、母体は保育とはほど遠い事業者も見受けられます。エムケイグループも携帯電話販売などをしていた企業でした。保育の重要性をいかに認識しているかという基本的なことから、事業総体としての経営状況までをチェックする体制づくりは、行政が取り組むべき喫緊の課題です。

 保育事業は、そのときどきのニーズに合わせて、これまで継ぎ足し、継ぎ足しを重ねてきたという経緯があります。保育所の形も認可、無認可、認証、保育室などさまざまであり、その結果、保育料なども含め、不平等な面があることも否めません。一般的な保育に加え、家庭保育における一時保育や、また、特定保育のニーズの高まりなど、全体の保育事業を見渡した上で、税の投入のあり方を総合的に見直すことも必要です。