非常勤にリビングウェッジと職責に応じた報酬を

2009年度予算特別委員会報告⑤

総務費では、継続して取り組んでいる非常勤職員の処遇改善について質問しました。

昨年、一般質問で、正規職員と同一の職務に就く非常勤職員の処遇改善を求めたところ「実態に即して人材が適切に活躍してもらえるよう整理をしていく」との答弁があり、来年度からまずは「育児・介護休業法」を適用すべく作業がすすんでいます。

2000年度から始まった定数削減は08年度までに1135人。しかし人口増や事業の拡充などにより区の行政需要は増加しています。正規職員に代わる職員が必要であり、実際のところ、非常勤職員は言わば「常勤的非常勤職員」として働いています。しかし、今の時代、好んで非常勤や臨時を選択するのではないということも事実であり、こうした立場の人たちが公共サービスを支える中心となっている現実を見据えなければなりません。事務事業を勘案し、定員削減路線を再検討することと、非常勤職員の位置づけを見直すことが必要であり、新しい時代に対応した人事戦略を持つべきだと考えます。

時間は週30時間とは言え、正規職員と同じく区政の第一線を担う職員であることに変わりはなく、その位置づけを明確にして、非常勤職員にやりがいを感じてもらうことがサービスの質を保つ上で重要になります。「すくすくスクール」の場合、月額204800円であり年収は約245万、図書館員は月195900円で年収は235万円。どちらも実質200万円程度であり、資格を持ち、区の重要なサービスの担い手でありながら、生活を営むに足る水準かと言えば、ワーキングプアと指摘されてもやむをえないような状況にあります。リビングウェッジの考えを取り入れる必要があります。また、正規職員が現業からいなくなる中では、指導・管理を担う非常勤職員も増えていきます。区政に必要不可欠な人材として能力を発揮してもらうには本人の努力とともに、その努力に報いる処遇を行わなければ、質の高いサービスを持続可能なものにするのは難しいのではないかと考えます。

荒川区が職層を3段階に分け、職責に見合った報酬体系をつくっていますが、この方法は、区の行財政改革を緩めることなく、一方で働き手の立場にも立ち、働く側の意欲やクオリティも保つことができる点において優れていると言えます。

非常勤職員の捉え方は、法の規定より実態に近いものになってきており、東村山市が、非常勤職員が離職するにあたり、離職報奨金を支給したことを違法とする訴えに対し、裁判所は手続き的に問題はなく、勤務の内容・実態等が常勤に該当するので違法ではない、との判決を下しています。退職金に相当するものであり、これまでの非常勤職員の概念ではおよそ考えられないことが認められるようになっているのです。東京都総務局行政部も「荒川区や千代田区の処遇改善が好ましくないとして、1960年の行政実例をあげて07年に通知した技術的助言」について、最近では「どのような対応を図るかはあくまでも各区の判断であり、待遇改善を否定していない。法の適切な運用で待遇改善を行ってもらいたいのが都の立場」としています。法の適切な運用というところが何とも玉虫色ではありますが・・。

江戸川区を振り返れば、処遇を保証された常勤職員と不安定で処遇の劣る非常勤職員が同じところで働いているという格差が現存しています。非常勤職員の多くは区民です。行政の社会的責任として、地域における格差解消に率先して取り組むことで、地域社会や民間企業を変えていく役割も果たしていかなければなりません。