区立図書館では2004年から非常勤化が進んでおり、現在全体職員数190名のうち122名が非常勤職員です。10館のうち半数以上は非常勤のみ、コミュニティ会館の図書館には常勤はひとりもいないのが現状です。非常勤122名中89名が資格を持っており、73%が資格保持者。一方、指定管理者制度によって民間委託した篠崎図書館の有資格者は、当初15名中8名で53%でしたが、私たち会派をはじめとして、専門性に疑問あり、との意見が出たためか、今年に入り16名中11名になり68%に。また、正規職員の有資格者は、69名中10名で14%。地域館として最も利用の多い西葛西図書館においては、29名中21名、7割以上が非常勤。つまり7割が専門図書館員ということになり、かなり高い専門性が確保されています。専門性については、現状、直営の非常勤体制が最も優れていることは明白です。
さらに、労働環境についてですが、非常勤、民間委託とも1年単位の不安定な雇用であることは変わりませんが、非常勤の月額報酬は195900円で時給換算すると1632.5円、篠崎のほうは980円程度と大きな差があります。非常勤職員に対して、指定管理を任された事業者から移動の働きかけがありましたが、誰も望まなかったのは当然と言えます。篠崎では開館時間を30分延長して9時半までとしたり、第二木曜も開館するなどサービスの向上を図っていることは事実ですが、このような労働環境では、専門性を活かしながら図書館業務の質の向上を図ることは難しいのではないかと懸念されます。
現在、葛西地域4館の指定管理者の募集が行われていますが、そもそも無料が原則の図書館業務に営利優先の民間活力の導入がなじむのか、ということがあります。地域の文化や伝統など郷土史にも関わる分野では、継続性や専門性の確保はもちろん、地域性も重要です。
まずは、私たちネットが提案しているモニタリング制度によって篠崎図書館の検証を多角的に行い、民間委託したメリット・デメリットを明らかにし、誰が図書館サービスを担うのがベストなのかを、区民・利用者も交えて議論することが必要です。直営の非常勤体制を組むこともひとつの選択肢と考えます。