図書館サービスよ、どこへ行く?①

千代田区の事例から・文京区のつどいにて

5月31日に行われた「文京区『図書館民営化』条例の再検討を求めるつどい」に参加しました。文京区が第3次行財政改革推進計画に盛り込んだ2010年度からの図書館への指定管理者制度導入計画には、多くの文京区民、図書館利用者から疑問の声が上がり、「文京のよりよい図書館をつくる会」が昨年末発足しています。

図書館民営化について文京区が行なったパブリックコメントは、反対63、賛成5と、反対の意見が圧倒的。現状に満足しており、現体制を維持すべき・利益優先企業の運営ではサービス低下のおそれあり・議論不足であり、再検討すべき、などが主な理由です。

集会では、すでに指定管理者制度を導入している2区から、懸念されていた事柄が事実として報告されました。

千代田区の千代田図書館では、直営のときから蔵書数やその種類の貧弱さが利用者から問題視されており、指定管理になったなら一番に改善されるだろうという利用者の意向とは裏腹に、改善が見られないばかりか、なんと年間予算が増えてしまっているというのです。

では、新体制の千代田図書館は何を目指しているのか。それは「ユニークで話題性のある図書館」。
館内には女性2名のコンシェルジュが配置されていますが、図書探しのサポートではなく、区役所案内や食事処など地域案内をするのだそう。「新刊書購入サービス紹介」は、新刊書を販売している神保町の書店を案内するのですが、案内されたところに行くかについては、すでに「実績が低い」と総括されています。

さらにこの6月から「靴磨きサービス」が登場。勤め人の多い地域柄、「図書館で靴も自分も磨く」をコンセプトに、男性1500円、女性1200円で、毎月第一月曜に行なう予定とか。

無料が原則の図書館運営を民間が担うとは、これまでとは別の分野の事業に着手しなければならないということでしょう。しかし、これも本来業務の充実優先でなければ利用者の納得は得られません。こういうサービスをもって「サービスの質の向上を図った」というならば、利用者の声とは無縁の、自己満足と言わなければなりません。

しかも、もうひとつの制度の指標である「コスト削減」も果たしていないとなれば、誰のための、何のための指定管理者制度なのか、疑問は増すばかりです。