第三者評価が義務付けられてきたのは、認知症高齢者のための「グループホーム」と、「小規模多機能型居宅介護事業所」ですが、都では、上記の目的に「サービスの質の向上に向けた事業所の取組を促進していくこと」も含め、第三者評価受審を社会福祉施設に促しています。特に、都単独の運営費補助であるサービス推進費の交付施設においては「第三者評価受審・公表は利用者サービス向上に向けた取組の基本」であることから、平成19年度からこの受審をサービス推進費全体の交付要件とし、平成21年度までに受審しない場合にはサービス推進費の減額をすることで、実質的に第三者評価受審を義務化しています。もちろん民間事業者による保育園はこの対象になります。
前のサイトでお伝えした陳情審査資料として、東小松川、鹿骨、北葛西のおひさま保育園の「福祉サービス第三者評価(利用者アンケート調査)結果」が出されたのですが、あくまでも利用者アンケート、つまり、保護者アンケートの結果に過ぎません。それに対して、評価機関のコメントが出ているのですが、これが非常にお粗末な内容。単に設問ごとのグラフやデータを文章に直しただけで、しかも画一的。このような仕事なら評価機関でなくとも私にもできそう。評価機関の明示もないことから「どこの評価機関によるものか」と聞きましたが何と「わからない。都が認めた評価機関である」との答弁。保育に責任を持つ区の姿勢としては心もとない限りです。しかし、たとえば世田谷区のHPで「民営化した保育園の第三者評価の結果」を見ると、どこの評価機関が行なったかをはじめ、詳細な結果の公開が。
世田谷の民営化園の場合、上記の3つの内容がすべて公開されていますが、江戸川では今のところ①のみの公開。区はこれまで「民営化園は第三者評価を受けている」と説明してきましたが、明確にそう言い切れない状況であることは間違いありません。①についての評価機関の結果も、紙ベースのシートをなぞっただけ、と言えます。
私たちが連携している運動グループのひとつに、都の評価機関になっているNPO法人「市民シンクタンクひと・まち社」がありますが、スタッフの話では、利用者調査だけであっても、保護者意見の確認作業を行なうためには現場に足を運ぶのは当たり前、とのこと。このような丁寧なところは少ないようではありますが。
調査結果を一部公開にするのか全部公開かについては事業所(保育園や特養など)に任せられていますが、一部公開の場合にはなぜ一部なのか、その理由を付さなければならないことになっています。
現状を鑑みれば、江戸川区は民営化園の第三者評価については「まだ最初の段階であり、利用者調査の一部しか公開できず、十分な第三者評価は受けていない」と訂正しなければなりません。