政権が交代したことで、民主党がマニフェストに掲げていた「八ツ場ダム建設中止」が注目されています。このサイトでも何度もお伝えしてきましたが、生活者ネットワークは終始一貫撤回を求めてきたところであり、都議会生活者ネットワークは、都が直轄事業負担金を拠出する議案に反対してきました。ネットは、先の都議会議員選挙の争点にもし、6月の江戸川区議会で、自民党から出されたダム建設推進の発議案に対しても反対討論を行なっています。
治水、利水の両面から八ツ場ダムは不要と私たちが判断する理由はすでにこちらに載せていますのでご覧いただくとして、それにしても、最近の八ツ場ダムに関わる一部マスコミ報道にはあきれてしまいます。ここまで多額の税金を投入してすすめてきたのだから、今さら中止とはいかがなものか。建設を前提にしてきた現地の人も困っている。川辺川ダムと違い、都県の知事たちはこぞって賛成している——など。
こんな調子では、今後変えるべきものも変えられるはずがありません。半世紀も前の計画を見直すこともなく、データに基づく反対の根拠に耳を傾けることもなく、計画をここまでやみくもにすすめてきてしまったことこそ大きく問われるべきです。当該自治体の知事たちも、最近の、また将来の分析をきちんとすることもなく、国に言われるままに、当たり前のように都民・県民の血税を投入し、負担金を拠出してきたのですから、今さら「必要ないダムだ」などと言えるはずはないでしょう。自治体リーダーの無策をさらすようなものですから。
ダム中止の恨み節なら、新政権ではなく、旧政権にこそ向けられなければなりません。
税金の無駄づかいを改めてもらいたい、お金の使い道・政策の優先順位を変えてほしい、というのは国民共通の思いであり、このことが重要ポイントのひとつとして、今回、有権者は政権交代を選んだのです。脱ダムは、脱ムダの実行に他なりません。「中止はとんでもない」とは、それこそ「とんでもない」話です。
ダム問題解決のためには、計画を中止した上で、ダム計画に翻弄され、環境も経済もコミュニティもズタズタにされてきた現地の方々の生活再建を図る、このことを最優先にしていくことが重要です。
*このテーマについては、東京ネットの機関紙「生活者通信」9月号でもレポートしています。お読みになりたい方は、江戸川ネットまで。