会派を超えた取り組みで活性化する大分市議会

議会運営委員会で大分市議会を視察

→議場では、第一質問は登壇するが、第二質問からは議員席側に設けられた対面式の発言席で。  

  議会における最高規範である「議会基本条例」は、現在84の自治体議会で制定され、検討作業中の議会も多数ありますが、大分市議会は中核市の議会では初めて2008年12月に制定しました。
  
  きっかけは、議会運営委員会において、当時の議長からなされた「会派の枠組みを超えての政策研究に取り組むための検討組織の立ち上げ」の提案。3週間後、早速全議員による「大分市議会政策研究会」を設置しました。政策課題を募集し、14の応募課題の中から、最初に取り組むべきものとして選ばれたのが「議会基本条例」です。

  制定に至る過程では市内13か所で市民意見交換会を開催、議員全員参加で400名を超える市民と積極的に対話しました。一問一答方式や執行機関の反問権、議員相互の自由討議を採用したことは、争点が市民にわかりやすく、市民に開かれた議会を具現化すると同時に、議員の力量もこれまで以上に問われることになり、議会の活性化につながるものです。

  特に注目したのは第8条「政策等の監視及び評価」。市長提案議案については、①当該政策等を必要とする背景②検討した他の政策案等との比較検討③総合計画における根拠又は位置付け④関係法令及び条例等⑤財源措置⑥将来にわたる効果及び費用など、徹底した説明責任を求め、場合によっては、提案準備段階でこれらのことを求めています。議会は首長と同等の情報を得なければ充実した審議をすることはできません。議会は同意、承認機関であってはならず、その権能を十分に発揮するためには、こうした権利が保障される必要があります。

  現在は次の課題、「子ども条例」制定に向けての活動が展開されています。このところ動きが停滞しているテーマですが、子どもを取り巻く状況が複雑さを増す中で、すべての子どもが豊かに育つ環境を保障することが求められており、本条例制定の意味は大きいと考えます。子どもの権利条約に則り、子ども自身の意見もうまく取り入れながら、権利基盤型の条例になることを期待します。

  会派単位ではなく、ひとりひとりが議員の役割を再認識し、市民の直接参加を保障しつつ、全員が志をひとつにして取り組む大分方式を、江戸川区議会においても実行したいものです。時には会派の壁を超え、議員個人の自覚と責任のもとに、条例提案も含め、議会総体としての取り組みができればと思います。

  また、大分市議会では、住民生活に大きく関わる総合計画や、連動する分野別の計画策定などを議決事項に追加しています。江戸川区では現状、計画を検討するために置かれる区長の諮問機関に議員枠を設けているに過ぎず、しかも第一、第二会派から少数の議員が参加するだけであり、それすらない場合もあります。区長と議会、住民の直接参加という3つの緊張関係が重要であり、江戸川区議会においても、二元代表である議会の関与を強める取り組みとして、議決事項の追加を検討していくべきと考えます。