こんなに違う、東京と福岡の子ども電話相談事業

福祉健康委員会視察報告②

左手前の茶色の箱を開け、後ろに並んでいるさまざまな置き物の中から、どのフィギュアをどう並べるかで、心理士がこどもの心理状態を観察する。私が持っているのは、かわいいおうち。福岡市こども総合相談センターにて。

 1月22日付けの本サイトでもお伝えした「市民と行政の協議会」では「子どもの権利擁護専門相談事業(東京子どもネット)」について、受け手として関わる弁護士の方々からも報告がなされました。平日は朝9時から夜8時半、土日・祝日は夕方5時まで実施。2008年度の実績は1570件で、いじめ(366件)、虐待(45件)の順に多く、専門員に引き継がれたケースは45件となっています。

 小学校高学年が40%、中学生17%、高校生12%と、子ども自身からの相談が7割を占めていますが、子どもたちの最大のツールである携帯電話からはつながらないこと、わずか2回線しかないこと、専門相談員が3人しかいないこと、これらを早急に改善すべきとの指摘がありました。親に言えない悩みを話すには、固定電話よりやはり携帯を使いたいでしょう。回線が少なくては、せっかくかけてきてくれても通話中が多く、あきらめてしまう場合もあるでしょう。相談を受けた側が対応を誤らないためにも、1件の電話につき2人で対応することが原則。そのためには相談員を増やす必要があります。これについては行政から「必要性は十分認識しており、毎年予算要望しているが、知事に行き着くまでになくなってしまう。そういう状況にある以上、議員のみなさんにぜひ頑張ってもらいたい」との切なる意見が。

 今回視察した福岡市こども総合相談センターの電話相談件数も年々増加し、昨年度は11652件。朝8時〜夕方5時までは総合相談員(11名)が5回線で対応。5時から夜10時は教員や保健士経験者が2回線で、10時から朝8時までは1回線を「福岡いのちの電話」に委託と、24時間体制。相談者の6割は母親、子ども自身の相談は2割ほど。日中の電話が6割で、内容は育成(6050件)についてが最も多く、次が教育(3157件)、養護(401)、非行(214)、障がい(177)。女の子専用電話も設けられています。もちろん、携帯電話からの受信もOK。質疑の中で、先の東京都の状況を紹介したところ、職員の方々からオドロキの声が上がりました。

 実は、都職員から泣きが入った(?)本事業において、東京都でも回線や携帯電話の課題について、新年度に向けて早急に対処することが決定したとのこと。市民と行政が一堂に会して課題を共有、協議した成果と言えます。

 福岡市の同センターでは、思春期対象の取り組みも。ひきこもりや不登校の若者のフリースペース「ピースフル」を開設し、コミュニケーションや社会性の向上を図るとともに、センターに来所できない若者の家庭に相談員を派遣、「ピースフル」への参加を促すアウトリーチを展開しています。子どもの緊急保護及び行動観察、生活指導を行なう一時保護所も集団生活と個別ケアに分けて対応。保育士、児童指導員が生活を共にしながらスポーツや勉強、遊びを通して、最大2ヶ月まで保護所で過ごす体制をとっています。

↓「ピースフル」のドア。右は、私の立っている板を取ると砂場が。