子ども相談・救済のしくみを学ぶ

福祉健康委員会視察報告①

  福祉健康委員会は1月25日から27日まで行政視察を行ないました。初日の午後、児童虐待死の報告を受けましたが、2日目の視察は、今後の江戸川区の体制強化にとっても非常に参考になる福岡市の「こども総合相談センター えがお館」でした。

 このセンターは平成2年の市長公約事業としてスタート。福岡市児童相談所、青少年相談センター、教育委員会教育相談部門を統合し、子ども問題に総合的に対応する施設として平成15年5月5日に開館しました。委員会の申し入れに対し、当初はプライバシー保護の観点から受け入れは難しいとのことでしたが、話し合いを重ねた結果実現したものです。

 子どもに関する相談内容は複雑化し、件数も増加しながら機関連携はすすまず、家庭の養育力や地域のサポート力の低下が拍車をかけ、しかし従来の相談利用では敷居が高い・・。まさに江戸川区もこうした状況に陥っているわけですが、福岡市は10年前にセンター基本構想を、翌年には基本計画を立て、相談体制の充実、専門性の強化、一体化した相談支援サービス、窓口の一本化、24時間対応、相談支援ネットワークの展開を図っています。
 
  5階には福岡県警の福岡少年サポートセンターがあり、少年問題に関する専門職員である少年育成指導官が中心となって、少年相談等の育成活動を実施。同じ場所で警察との連携も図られています。子ども施設は通常18歳までが対象ですが、20歳までが対象となっている理由はここにあります。

 こども支援課、こども相談課、こども緊急支援課、教育相談課の4課体制を組み、児童福祉司(24名)、児童心理司(7名)、保健師(1名)、保育士(6名)、児童指導員(2名)、指導主事(3名)といった職員配置。これに、児童養護施設専門指導員、心理相談員、思春期相談員、教育カウンセラー、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど総勢132名が嘱託員として加わっています。

  こども自身や保護者、学校や民生委員などの関係機関からまず電話相談を受け、4課を通して社会診断・心理診断・医学診断がなされ、一時保護や育児支援家庭訪問、適応指導教室、助言指導など、援助方針が決定されていきます。

  昨年度の虐待受付件数は342件ですが、ネグレクトが半分以上を占め、身体的虐待は微減しているとはいえ、依然として多い状況です。これまでの虐待受付件数がいちばん多かったのは、18年度の425件ですが、21年度はこれを上回る見込みとのこと。虐待相談についての立入調査は減っていますが、親子分離などの職権保護は急増。20年度実績は29件で、視察当日も、こども緊急支援課長からは「こどもを返せという保護者に2件対応していて午前2時までかかった」との話がありました。

 スクールソーシャルワーカーを4名配置している効果について質問したところ「依頼を受けて派遣する形をとっているが、不登校生や親の疾患などにも対応できており、地域・学校から高い評価を受けている。20年度の2名配置は文科省事業であり、21年度はその事業費が3分の1に減ったが、さらに2名増やして4名にした」とのことでした。
 学校がカバーしきれない領域でその専門性が発揮されています。