低炭素社会は、人口や資源、産業の異なる地域ごとに多様にありうるものです。地域特性の何を活かし、どのように仕掛けをつくるかは、それぞれの地域で考え実行していくべきもの。そのためには、まず①市民の善意に訴える従来型の普及啓発を超える②交通政策や再生可能エネルギーなど、地域ならではの独自の政策を選択する③市民生活も含む実行計画やエネルギービジョンなど中長期のビジョンを持つ、ことが重要です。
現在、都道府県や特例市以上の規模の自治体には、改正温対法で、自治体の事務事業だけでなく、市民生活も含む地域全体の温室効果ガスを削減する「新実行計画」の策定が義務付けられています。規模の小さな自治体では、従前どおり、自治体の事務事業の範囲での「実行計画」をつくることとされていますが、計画策定は50%に満たない状況にあります。罰則がなかったり、前述した一般的な課題が主な理由ですが、国の支援がガイドライン程度ということも原因のひとつと言えます。
実際の条例づくりを行なうにあたっては、すべての市町村が対象となる共通項目と、農山村型市町村、地方中心都市、特例市・中核市・政令市など、特性別に議論をする項目に分ける必要があると考えていますが、分科会では、すべての市町村共通項目についてポイントを4つ示しました。
① 10年後をめどに温室効果ガス削減目標を定量的に示す⇒国の目標を全国一律に減らせるものではないので、国の施策で何%、自治体独自の施策で何%、計何%と積算するのが理想
② 実際の温室効果ガス排出量の現況推計と定期的な推計の義務付け⇒推計手法を取り組みやすいものに改善する。また、自治体がゼロベースから取り組むのは大変な作業なので、都道府県が適切な情報を提供する
③ 市民・事業者との協働による実行計画策定
④ 自治体事務事業の低炭素化の義務付け⇒CO2をたくさん出す上下水道事業、廃棄物焼却、公共施設改築などを押さえる
②の排出量把握は温暖化対策を展開する上での基礎データですが、自治体単独ではなかなか難しい現状があり、結果、実効性のある取り組みに至っていない自治体が多い現状です。東京では2007年度から、62市区町村の共同事業「みどり東京・温暖化対策プロジェクト」として、温室効果ガス排出量推計を算出し公表しています。自治体同士の連携による取り組みにすることもひとつの方法です。
会議の中で、市民、研究者、そして自治体職員からも聞かれたのが「行政には責任と権限がある」ということ。環境先進自治体だから、ということでなく、すべての自治体がこれを肝に銘じ、「低炭素地域づくり」に取り組んでいかなければなりません。
↓来年の環境自治体会議は愛媛県新居浜市で。最終日、佐々木市長を先頭に、来年へのアピールをする新居浜市のみなさん。