対象事業の選定については「新規・拡充事業」と「実施計画掲載事業」のうちから所管部長が決めることになっていますが、新規・拡充事業に偏っている傾向があります。
たとえば20年度に「スーパー堤防とまちづくり」(本事業はP38〜40参照)が取り上げられていますが、評価対象となった北小岩地区の事業は、当時は都市計画決定にすら至っておらず、そのため、調査段階のコストとして7000万円程度の計上となっています。今年示された事業費は43億円であるのに、です。こうした段階での事業評価で「スーパー堤防とまちづくり」の評価を行っている、とするならば違和感を覚えずにいられません。20年度の新規事業ということで対象となったものですが、やはりこの事業については、完成した平井地区の行政評価をしっかりと行う必要があります。本事業を他の地域でも拡充実施するのであれば、拡充前の事業をきちんと行政評価した結果、拡充する、ということであれば区民にもわかりやすくなるというものです。事業選定については、所管が選ぶのではなく、実施計画掲載事業で、成果を図ることができる事業や完成した事業について評価すべきです。
また、途中から再評価を始めたために、残りの半分の事業評価が進展しない状況も生んでおり、この辺のバランスも改めて勘案する必要があります。
さらに、事務事業分析シートに記載する「区民からの意見・要望」については、21年度で記載があるのは14事業のうち5事業のみ。特に指定管理施設である篠崎図書館(本事業はP53〜55参照)の評価に区民意見の記載がないのはどうでしょうか。指定管理施設であればなおのこと、民活による効率化の推進が区民生活にどう影響しているのかを示す必要があります。私たちは、行政評価とは別に、指定管理者制度に特化したモニタリングの必要性を主張してきたところですが、それがない状況においては、指定管理施設では、特に意識を高めなければなりません。事業を分析するのに対象者、納税者、関係者の意見がないのでは話になりません。
また、外部評価委員が評価する際、所管課がつくったA4のシート以外に、十分な資料提供がなされていません。コストなどの経年変化も含め、状況がどう変わってきているかなど事業を評価するに十分な資料を付けるべきです。説明員が所管課長のみ、というのも課題では? 実は、内部評価シートがびっしり埋まっているのとは対照的に、外部評価シートには評価コメントが余り記されておらず、この制度が始まった当初は5項目を5段階評価していたものが、今は3段階になっています。5段階に分けるほどの知識やスキルがないとも言えます。少なくとも内部の評価と意見が分かれたものにはその理由を記入する必要があります。所管の内部評価は5項目にわたりオールAなのに、外部評価ではAは2つに過ぎなかった先の「スーパー堤防事業」について、所管課に問い合わせたところ、外部評価の結果を把握していませんでした。庁内で行政評価の目的を改めて共有し、十分活用されなければ意味がありません。
現在、委員に2名欠員が出ている状況については、速やかに適切な人材を補充するよう要望しました。また、議会としても、行政評価を決算認定に活用していく取り組みが必要だと考えます。