新しい市民討議「プランニングセル」を活用した計画策定を

平成21年度決算特別委員会報告⑦

総務費では、まず、区の10年間の長期計画が来年度最終年度を迎えることに伴い、今後の計画策定について質問しました。

自治法改正の議論の中では、議決が義務付けられていた基本構想の策定義務そのものが廃止される方向にあります。この義務付け廃止については、自治体の自由度を高める政策推進の観点からであり、これまでの国の義務としての計画策定から、住民本位の計画策定への転換が図られることになり、自主的な長期計画の取り組みにしていけるかどうかが問われています。基本は、地域住民のニーズと課題に十分に応えるということであり、そのためには政策の企画立案に、住民の参画、政策形成過程での住民との協働をどう進めるか、ということがポイントになることから2点の提案をしました。

ひとつは、新しい市民討議の形である「プランニングセル」の取り組みです。これは住民基本台帳から無作為抽出した市民に、計画づくりへの参加の意思を確認し、市民討議のメンバーになってもらうというもの。三鷹市では1000人を抽出し、50人がこの方法で参加しました。参加者の満足度は高く、「今後も機会があれば市政に参加してみたい」「住民としてまちづくりへの気付きの場になった」という意見が多いという。サイレントマジョリティーを取り込み、新たな地域力の発掘にもなります。

もうひとつは、安易にコンサルタント会社に委託せず、会議の進行、意見のとりまとめ、文章にする作業に至るまで、地域住民と職員が自力で取り組むことを基本にすべきということです。地域に根ざした重要な計画づくりであり、若い職員の育成の場にもなり、職員力、そして市民力を高める絶好の機会であると言えます。

これまでは、長期計画=行政計画とされてきましたが、これからは市民参加をより重視し、市民がつくり、市民が実行する「みんなの計画」にしていくことが重要です。

また、現在の長期計画を確実に実行するために、具体の実施計画を策定してきましたが、3年ごとのスパンでつくってきたために、来年度の計画が一切ないままに、今後予算執行されるという事態を招いており、期間設定に課題が残ったことを指摘しました。長期計画を10年ではなく、12年にする、10年のままであるならば、4・3・3、また、3・4・3のスパンにするなど、今後は工夫が必要。さらに、実施計画をマネジメントサイクルの中核に位置付け、達成状況を検証するPDCAサイクルを確立することも重要だと述べました。