行財政改革の中に、数値化されない課題はないか?

2011年度予算特別委員会報告⑥

  2001年から取り組んだ一連の行財政改革は、今年度その最終年度にあたります。この間の1168億円という財政効果や、また直近では2年連続で実質公債費比率全国一という評価がある一方で、雇用機会の不均衡や、正規・非正規職員間の報酬格差の問題、さらに、歳入の減少や扶助費の増加などの諸課題が浮き彫りになってきました。新年度は、20年を見通す基本構想の中間年度であり、10カ年の長期計画の最終年となる中、ここで行財政改革推進プランの総括をきちんと行う必要があると考えます。今後のプラン策定の考えも含め、このことについて質問しました。

  答弁は、成果についてはすでに説明しており、また、今後のプラン策定の予定はない、とのこと。
 
  これまでの成果は評価されるべきものですが、区の実質公債費比率(*下記参照)はマイナス2.5%とダントツ。2位の杉並のマイナス0.6%、3位の江東マイナス0.5%、さらに区市町村平均が11.2%というデータを見るにつけ、逆に、行き過ぎている部分もあるのではないか、とも思えるところです。

*借入金(地方債)の返済額(及びこれに準じる額)の大きさを指標化し、資金繰りの程度を示すもの。人口一人当たりの江戸川区の将来負担額は89,000円。

  片山総務大臣は1月、「自治体は地元企業に正規雇用を増やすよう働き掛けているが、自らの内部では非正規化、外注化を進めて官製ワーキングプアを大量につくってしまったという自覚と反省が必要だ」との認識を示しました。その原因が、総務省の主導で2005年から自治体が公務員数削減などの行政改革に取り組んだ「集中改革プラン」にあると指摘。「法的根拠のない仕組みを強いてきたが、これを解除するので、自治体が自ら考えて定数管理などをしてほしい」と語ってもいます。

  行財政改革をすすめた結果、職場の環境は大きく変わっています。数字に表れない別の課題を生み出していないか、という視点も重要です。現場の忌憚のない意見、区民の意見を交えて、やはりここで、きちんと行財政改革プランの総括をして、今後の長期計画策定に活かしていくべきです。