議会にも「BCP」を

大災害に見舞われても、その機能を果たすために

「都政のBCP」策定にも関わった前東京都総合防災部情報統括担当課長・斎藤 實さん(危機管理勉強会「齋藤塾」塾長)によると、「BCP」に盛り込むべきポイントは以下のとおり。(6月8日付け「都政新報」)

▼各部門の責任者(または代行者)を複数指名し、確実に参集できる体制構築▼対策本部等の指示がなくても、一人ひとりが何を実施するか▼30分、1時間、3時間以内など、時系列に沿って実施すべき事項▼参集した人員の範囲内で、どの業務から優先的に実施するか▼必要な資機材が使用できない場合の代替策▼関連業者の連絡先と不在時の対応

昨年6月、「BCP」を取り上げた都議会での一般質問に対し、総務局長は「ガイドラインに沿った具体的な策定基準についての説明会を今後複数回開き、先進的な取り組み事例の紹介も行いながら「BCP」策定への理解をさらに深めていく。区市町村の要望や策定作業の進捗状況に応じ、直接訪問して相談に応じるなどきめ細かく対応し、区市町村が早期に策定できるよう積極的に支援していく」と答えています。

阪神・淡路大震災により兵庫県議会の議事堂はスプリンクラーが破裂し冠水。中越地震の長岡市では、停電や天井からの水漏れで当初市役所内に災害対策本部を設置できませんでした。自治体が着々と「BCP」を策定する中、議会も「BCP」を持つべき、と紅谷さんは言います。

「議会開会中、審議中に議場や委員会室が被災したら?」「議員が負傷したら?」「議会情報の管理体制の強化は?」

行政のチェック機関として、議事機関、立法機関として、議会はいかなる場合も、その機能を発揮できなければなりません。

首都直下型地震の避難者想定は460万人、東南海地震では420万人。今後起きうる震災は、東日本大震災の10倍にも及ぶほどの甚大さになりうることを念頭に置き、平時から行政の防災対策をしっかりチェックすると同時に、企業や自治体同様、議会においても、「想定外」で済まさない、実践的「BCP」の策定を検討していかなければなりません。