スーパー堤防問題、政治vs行政

区議会定例会と参議院予算委員会

 第三回区議会での一般質問初日、防災・減災対策、放射能対策、スーパー堤防問題などが取り上げられました。
 
 スーパー堤防に関する質問・指摘は、私がこのサイトでも取り上げてきたポイントと同様です。国民の命を守るとしながらも、今後縮小しての実施となるなら、施工区域は北小岩や篠崎という地盤が高く安定しているところではなく、区内であれば荒川左岸、あるいは区外上流域ではないか? これについては「江戸川区は全部危険。やれるところからやっていく」と、いつもながらの合理性も説得力もない答え。「過去の地盤沈下のツケを国に払ってもらわなければならない」「オランダは1000年先を見据えた事業を行っている」とも。

 奇しくも同日午前、参議院予算委員会では都議時代から水問題をテーマとしてきた大河原雅子議員が、総合水資源管理という新たな視点のもと、東京都をはじめとする一都五県の水余り問題、暫定水利権の見直し、基本高水の再検討などを指摘。八ツ場ダム建設中止を求めてきた立場で、直近のデータに基づき、緻密な質問を展開、最後に「スーパー堤防問題」を取り上げました。

 大河原議員「400年以上、12兆円以上かかる。事業仕分けで廃止となったものが、検討委員会の出した『とりまとめ』では縮小して継続との判断になった。しかし、そもそもつながらなくては効果がないもの。行政刷新大臣、どう考えるか?」

 蓮舫大臣「事業仕分けでは現実的な対応を議論した。当時、整備箇所を視察したが、整備箇所と隣接箇所には大きな境目ができてしまっていた。この境目は命の境目になる。こうしたリスクの高さも実際見た上で仕分けした。23年度予算は、中止した場合、社会経済活動に重大な支障を及ぼす場合を除き、予算充当していない。引き続き、検討中であり、24年度についても仕分けでの評価結果を反映していただけるものと承知している」

 国と自治体の共同事業であるスーパー堤防事業は、以前から、そのパートナー同士の温度差が厳然とありました。区はまず「これは国の治水事業」と言い、その国は「自治体のまちづくり事業ありき。国は受け身」と、責任の押し付け合い。区は「国の事業」と言いながら、まちづくりの説明会では、スーパー堤防に関連する質問・意見は取り上げず、区や都の都市計画審議会に出されるスーパー堤防関連の住民意見はあくまでも参考意見としての扱い。そして、区は、国との協議の元、地元への説明と異なる説明を都に行い、事業認可をとる—。
 
 流域住民のための事業のはずが、その住民の入る余地のない事業プロセスが粛々とすすめられていきます。反対意見があるのに、事業がすすんでいくのは先進国では日本だけだそう。行財政改革がすすむ中、公共事業だけは別格のよう。スーパー堤防事業の問題点は八ツ場ダムのそれと同じ。

 市民の立場で職務を遂行しようとする官僚は退職することに。国交省淀川河川事務所長を辞め、一市民の立場で淀川水系流域委員会委員長を務めた宮本博司さんしかり、先日経産省を退職した古賀茂明さんしかり。

 官僚主導では、大型公共事業の難題に切り込むことはできません。ここは政治主導。この聖域に女性政治家が切り込む。今日の区議会でスーパー堤防の課題を指摘したのも女性議員でした。
 
 ちなみに、江戸川区や区教育委員会の放射能対策にはないものの、区立瑞江小学校が保護者の意見を受け止め、2学期から給食食材の産地公表を毎朝校内にて実施。これに踏み切ったのも女性校長です。