今年4月から中学校で武道が必修科目になるにあたり、江戸川ネットでは初心者に事故が多いという柔道の過去の事例に鑑み、実態の把握と指導者への医学的見地からの研修など、具体的な安全対策を講じるよう求めてきたところです。文科省でも、保護者からの不安の声が大きいことを受け、特に中学柔道について詳細に検討したといいます。
その結果、「1989年(平成元年)から2009年(同21年)までで、小中高校での死亡事故は計81件だが、授業中の事故は10件で、9割近くは部活動中。中学での授業中の死亡事故はゼロだったが、 重度障害事故が2件起きており、「引き続き、安全管理に努めることが重要」としました。
江戸川ネットが、学校柔道の安全を求めて、情報交換をさせていただいている元都立墨東病院脳神経外科医長で藤原QOL研究所代表の藤原一枝医師は、これを受け、次のように話されています。
「確かにその期間は授業中の死亡事故はゼロだが、平成22年に授業中での死亡事故が発生している。また、昭和62年には、学校の体育大会で死亡事故が起きている。(後者は)厳密には授業と言えないかもしれないが、部活動ではない。(調査期間をこの2年を入れない)平成元年から21年までとしたのは、この2件を意図的に外したとも思える。」
独立行政法人日本スポーツ振興センターは、文部科学省の外郭団体。平成22年度の事故は、日本スポーツ振興センターがすでに公表し、事故報告書(P6)にまで記載されています。また、同センターのポスターには 平成13年度から22年度まで の10年間の授業中の死亡は3件と書かれ、授業中の事故分析を紹介しています。
統計資料の使い方・見せ方で、安全性への受け止め方は大きく変わります。文科省直轄の専門機関がすでに公表していることを、今回の報告書に載せなかったことはやはり恣意的と言えないでしょうか。