消費増税、迷走するその中身

消費増税ゆとり分は公共事業に重点配分

 「消費税増税法案(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案)」が26日、衆議院を通過しました。消費税は2014年4月には8%、翌15年10月には10%になるとされています。民主党から造反議員が出た、その処分は? などと騒がれていますが、政権交代を支持した市民から見れば、一体どちらが造反したのか、と問いたいところ。

 この法案には附則18条、いわゆる景気条項が付けられており、1項では、平成23年度からの10年間の平均経済成長率を名目3%、実質2%程度を目指して必要な措置を講じるとし、2項では、施行前に経済状況を勘案し、増税の施行停止を含め所要の措置を講じる、と謳っています。

 法案可決に向けて民主・自民・公明三党協議が持たれましたが、その中で、この附則に以下のとおり、驚くべき条文が追加されてしまいました。

「税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引き上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災に資する分野に重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する」

 増税によってゆとりを生む。その分は、事前防災・減災という名のもとの公共事業に充てる、というもの。修正協議の中で、国家強靭化基本法成立を目指す自民党は、10年間で200兆円規模の公共事業を、公明党は防災・減災ニューディールに基づき10年間で100兆円規模の事業推進を求め、増税法案賛成と引き換えに上記の修正を盛り込ませた、ということでしょうか。

 国民生活の安定を確保するために社会保障改革の全体像を示し、その財源確保のための消費税増税、つまり、税と社会保障の一体改革だったのでは? それが、年間10兆から20兆規模の公共事業に回されるとは。これほどの規模となれば、そもそも防災・減災とは無縁の無駄な公共事業も復活してしまいかねません。

 原発再稼働・TPP・そして消費増税。国民の生活が第一、とは言えないことばかりです。