何と敷居の高い東京都議会

傍聴者対応の改善を 

32万筆という、法定数をはるかに超える都内有権者の署名を付して提出された原発都民投票条例案。審査結果は、原案6:8で否決、民主・ネット共同修正案7:7となり、委員長裁決の結果、否決。

市民提案の条例案ですから、審査の際の質問は請求者である市民側にもするのが筋でしょうに、そこには請求者は不在。反対意見を付して条例案を提出した都知事の補助機関=都の職員への質問ですから、答弁は自ずと、条例を制定しない言い訳のオンパレード。そもそも請求代表者の陳述と審査を別々の日に行うこと自体疑問。運営は議会で決められるのですから、都知事ばかりを責められません。運営に異議あり。さらに、傍聴者への対応にも大いに疑問を感じました。

通常、委員会開会の1時間前、正午から20枚の傍聴券が配布されますが、この件では11時には傍聴者が並び始め、正午過ぎには100名以上が列を。しかし正午に配布されたのは原則の20枚だけ。当日12時半開会の委員会理事会で、あとどれくらい傍聴者を認めるかの話し合いが持たれ、それまでの30分間、さらに立って待つことに。32名が追加傍聴できることになり、結局52名の傍聴が許されましたが、半分以上の方はただ並んだだけで、モニターによる傍聴もなし。3日間とも、その日単位で同様の経過。都議会初日の条例案上程の日、186の傍聴席が埋め尽くされたのですから、審査日に傍聴者が詰めかけることは予測に難くなかったでしょうに。

1時からの傍聴のために、2時間近く拘束され、昼食をとることもできず、マイボトルでお茶を飲むことも許されず、飲むなら場所の移動を、と注意される始末。32名追加の余地があることがわかっているのなら、事前の調整によって、12時の時点で52名に傍聴券を配った方がずっと親切というもの。少なくとも、その後30分以上並んで待つという負担はなく、その結果、傍聴不可を突き付けられて落胆する憂き目にあうこともありません。傍聴者が多いから、本会議場でやろう、という粋な計らいが期待できるのなら別ですが。

さらに驚いたのは、追加の32名に配布されるのは、傍聴券ならぬ整理券。12時半過ぎにその整理券を手にした傍聴者は、さらに委員会室前の廊下に番号順に整列。この間もちろん飲食はできず。1時開会の委員会冒頭で「さらに32名の傍聴者を認めるかどうか」が委員に諮られ、「異議なし」となった時点で、初めて入室できることに。なので、入った時にはすでに陳述や質疑の途中。遅刻したわけでもなく、あれだけ早くから並んだのに、最初から聴くことができないとは。入室したら当然お茶など飲めません。熱中症になったらどうする?
 
何という敷居の高さ。しかもこれでは、虚弱な人に都議会の傍聴はできません。心身ともに頑強な人でなければ。誰のための都議会なのか? 傍聴者対応の改善は急務です。