障害者の就労機会を拡大する「障害者優先調達」、江戸川区でも~東京ネット視察から②

 障害者の就労の拡大を目指して、今年6月「障害者優先調達法(国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律)」が成立しました。この背景には、長引く景気低迷により、福祉事業所・作業所への民間企業からの仕事の発注が縮小されてきていることがあります。国や自治体からの安定した仕事を求める声が強まったことで、国もこうした事態を踏まえ、2006年度の全国の平均工賃1万3千円程度から2万6千円へと倍増させることを目標にし、2007度から11年度までの5か年計画を立てた経緯があります。 

 さらに、今回、民間だけに頼るのではなく、国や地方自治体の事業展開にあたっても福祉施設からの製品を優先的に購入し、仕事も依頼しようとの考えのもと、この法制定となりました。施行は来年4月から。地方公共団体は「障害者就労施設等の受注機会の増大を図るための措置を講ずるよう努める」とされ、福祉施設からの製品の購入や業務委託についての計画を毎年作り、実績を公表することになっています。 

 国ではすでに実施していますが、2009年度の総額はおよそ3億円にとどまっており、このうち厚生労働省が2億円余りと、その多くを占め、省庁全体には行き渡っていないことが窺えます。 

 地域でともに働くことを実質的にすすめる法律であり、滋賀視察でも、この件について意見交換したところです。先月の区議会決算特別委員会では、この法律を受けての区の考え方を新村さんが質問しましたが、区としては、まだ検討に入っていないようで、「3年の猶予期間がある。何を発注できるかこれから検討する」という回答。猶予があるとはいえ、自治体は積極的な取り組みへの姿勢が何より重要です。対応が遅くなれば、その分せっかくの制度も活用が延びることに。物品の購入だけでなく、今回視察したような印刷や清掃など、業務委託についても取り組みを要望しました。

 公契約の落札者決定にあたり、障害者をはじめ、就労困難者雇用の取り組みをすすめる事業者に加点するなど、こうした視点を取り入れた総合評価入札にしていくことも必要です。

 訪問した大津市には、前回ご紹介した社会的事業所の他、国が認めた障害の枠を超える人たちを支援する「滋賀県地域活動支援センター」もあります。そして、障害者の働く場、活動する場としての作業所の集まり「おおつ『障害者の生活と労働』協議会(O.S.K.)」があります。障害者の地域生活を応援する居宅支援事業所も参加し、39の団体で構成。事業や障害の種別、規模の違いを超えて活動するこのような取り組みは全国でも貴重です。この点に大津市や滋賀県が注目し、国の障害者就労支援機関「就業・生活支援センター」の指定がおり、市をはじめとする各種事業の優先調達がすすんでいるのです。O.S.K.の取り組みは、障害者の就労収入確保を実現するとともに、市民に対し、障害者も働いて社会参加する、その当たり前のことの啓発にもなっています。