「クオータ制」で女性国会議員を増やそう

  前回お伝えした諸外国の現状に比べ、日本の国会議員の女性割合は長期的には増加傾向であるものの、186か国中121位と低迷しています。

  日本の政党が行う女性参画拡大への取り組みは、以下のとおり、ほとんど進歩がありません。

①女性新人候補者を対象とした支援金の支給

男女共同参画社会の実現を目指す基本理念を持つ党では、1999年に基金を設立。国政選挙では200万円、都道府県議会選挙では30万円、政令市議会選挙では20万円、市区町村議会選挙では10万円。2011年5月までに計484名が支援を受け、うち289名が当選している。

②党の意思決定を行う機関に女性を必ず1人は入れる

・クオータ制の原則を定めた党則を持つ党では、党の全国連合役員の三役(党首・副党首・幹事長)、各都道府県連合役員の三役(同)のうち、少なくとも1名は女性にする。

・基本理念や党則の改正、役員の任免等を決定する党の最高決議機関である党の全国大会の構成に女性代議員枠を設けている。各都道府県連合において代議員を選出する際は、女性が少なくとも1名以上は含まれるようにする。若干名の大会議長のうち、1名は女性代議員の中から選出する。

・全国大会に次ぐ全国代表者会議の枠に女性代表枠を設け、全国11の各ブロックにつき、1名の女性代表を選出する。

③女性の国会議員、地方議員、候補者を対象に、政策等の勉強会の実施 

  2011年7月現在、国会議員に占める女性比率第1位はルワンダ。憲法により、あらゆる意思決定機関の構成員の少なくとも30%を女性とすることが定められています。国会議員については、下院議員80名のうち、24名を女性とすることに加え、この24人は、国内の各州、及び首都キガリからそれぞれ2名ずつ選出することまでが決められています。この他、53の議席が比例代表で選挙されますが、3議席が若者や障害者代表に割り当てられています。2008年の総選挙では、女性が45人当選し、女性比率が56.3%に。こうした状況は、国内の政治的、社会的事情にも大きく関係しており、ルワンダでは、1994年の民族紛争によって国民の10人に1人、少なくとも80万人が亡くなりましたが、その犠牲者はほとんどが男性。そのため、残された女性がこれまで男性の職場だった分野にも進出せざるを得なくなったという事情があります。アパルトヘイトの撤廃もあり、南アフリカ共和国、モザンビーク、ブルンジ、タンザニアといったサハラ以南のアフリカ(サブサハラ)諸国も軒並み30%を越えています。

   日本の現状は先進国の国権最高機関としては恥ずかしい限り。政治分野における女性参画の拡大は、多様な民意を反映させる民主主義の観点からも、男女共同参画推進に向けた政策・方針を、政治的な優先課題に反映させるためにも極めて重要です。日本でもまずは「クオータ制」の導入を。