「新しい公共」のための新たなしくみづくりを市民参加で~パネルディスカッションから②

都のモデル事業期間はこの3月で終了です。応募の条件であった「持続」はどの事業にとっても大きな課題でしょう。私たちがこれを解決するためには、「地域の川をみんなで守り育てていく」という意識を醸成し、参画の幅を広げることと、持続可能性を担保する新たなしくみづくりが必要だと思っています。 

新たなしくみづくりについては、まず活動資金の確保に関する課題があります。

市民が主体となって多様な主体をつなげ、活動を豊かに広げていくためには、運営資金は不可欠です。2012年度はモデル事業により、都の助成がありましたが、新年度以降は他に助成金の申請はするものの、財源は非常に不安定です。 

そこで資金提供を積極的に呼びかけようということに。特に民間企業からは、活動資金の支援をしていただいていることをサインボードなどで広く伝えることで、win winの関係が築けたらと考えました。しかし、現状のルールでは、国の管理する場所に私たちがボードを設置することはできず、しかも民間企業名やロゴを入れることも不可能です。しかし、こうしたことも含め、民間資金を活用できるしくみづくりを前向きに検討する必要があるのではないでしょうか。 

実は、荒川堤防の一角に「小松川自然地」をアピールするサインボードがすでに立っていますが、これは、江戸川区が小松川千本桜公園をつくるために国の占用許可をとっているエリア、つまり、区の管理下にある場所に立てたものです。上記の結果を受け、区に相談したところ、市民提案を受け止めていただき、設置にこぎつけたという経緯です。しかし企業名を入れる、というハードルはまだクリアできていません。 

しくみづくりのための今ひとつの課題は条例などの規制を緩和すること。従前のルールすべてに「新しい公共」の理念を吹き込むことです。たとえば、「○○会社は、このプロジェクトを応援しています」といったメッセージを河川敷など公共の場で掲示できないのは「東京都屋外広告物条例」のしばりがあるからです(6条禁止区域)。社会の公器である企業のCSR(社会貢献)という社会的責任の具現化をこの条例が阻んでいるとも受け止められます。市民・事業者・行政が連携する新しい公共の場を運営していく資金を民間企業が支援することは歓迎すべきことであり、これを正々堂々と伝えることも、「新しい公共」を広げ、継続する上で大事なことではないでしょうか。 

まさに協働であり、あるべきパートナーシップと言えるはずですが、ここまで実施してきて感じることは、実際に運営を担う場面は広がっていても、その運営をしやすくするしくみのところは従前のままだということ。企画・構想の段階からの市民参加が保障されて、実際に参画する市民がその肝心のところの意思決定に関わる必要があるのでは? 

内閣府は今後、環境や福祉など、各モデル事業の課題を把握し、建設的な議論を行い、各省庁や自治体などとの調整機能を果たさなければなりません。有識者の円卓会議とは別に、モデル事業を行った市民の意見を聞き取る場の設定も必要ではないでしょうか。